研究課題/領域番号 |
22560622
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
檜谷 美恵子 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (60238318)
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キーワード | 住宅政策 / 社会住宅制度 / 地方住居計画 / 自治体住宅政策 / フランス |
研究概要 |
フランスを中心とする欧州諸国の社会住宅制度に関する文献調査を実施し、住宅政策をめぐるトピックスを整理、把握した。とくに、フランスの社会住宅制度については、文献調査ならびに現地調査をもとに、以下を把握した。 ①フランスの住宅管轄省庁、社会住宅ユニオンのHPを検索し、社会賃貸住宅に対する需要増大を背景に、社会住宅の供給量が2000年代後半から増大している。社会住宅部門ではひとり親世帯や多子世帯など住宅確保要配慮者の入居が促進されているほか、社会住宅ストックの更新や団地再編事業と連動して、居住者参加型のハウジングやエコハウジングなど、多様な実験的事業が展開されている。 ②自治体住宅マスタープラン(PLH)における社会住宅の位置づけは大きい。PLHでは、具体的な社会住宅の供給計画を策定することが求められており、計画図書のなかでも社会住宅供給計画は最重要視すべきテーマとなっている。PLHの策定を促す施策は、社会住宅の供給促進に有効で、地方公共団体による建設助成が国の建設助成を補完している。 ③社会住宅の経営、管理は、応能援助である住宅手当制度と密接に連動している。このため、住宅手当給付額が抑制されると、国が定める家賃上限や所得上限のもとで、事業の採算性を確保することが難しくなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
我が国における公的住宅制度の現状に関する調査、また社会住宅制度に関する文献収集、フランスの社会賃貸住宅制度の実態に関するネット調査とその分析については、おおむね、順調にすすめることができた。しかしながら、その過程で、社会賃貸住宅制度を活用した、自主管理方式のハウジングの取り組みなどを把握したので、該当事例を調査対象に含める必要があると判断し、現地調査を練り直すこととなった。このため、年度当初、予定していた現地調査を次年度に実施することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
フランスの社会住宅制度調査については、平成24年度に繰り越して実施した現地調査結果を踏まえて、社会住宅制度の有用性検討を行うこととする。とくに、社会住宅制度を活用した居住者による自主管理方式のハウジングなどの新しい動向に着目するとともに、政治経済環境の変化に着目しつつ、引き続き、団地再編事業の進捗状況、住宅確保要配慮者に対する居住支援の実態を把握するための調査を実施する。また、現地で収集した資料を分析するとともに、文献調査、ネット調査から引き出された知見とあわせ、補足調査を実施し、研究成果としてとりまとめる。
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