フランスの住宅政策は1980年代から住宅手当制度を重視してきた。しかし、これは住宅困窮問題への応答として、所期の効果をあげてはいない。そこで現在、地域住宅市場の特性に応じた公共介入が要請され、政策手段として社会住宅制度が活用されている。同制度は日本の公営住宅制度と類似する課題に直面しているものの、ソーシャルミックスの実現手段として、地方にその供給を促進させる法的枠組みをもつことにより、ストックの良質化をすすめ、世論の支持を得ている。特定層のニーズにこたえるなど柔軟な対応をしていることも注目される。フランスの社会住宅制度は、助成等を含む、供給主体への公共介入の重要性を示唆している。
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