平成22年度の研究計画では、人口・世帯構成を主として住宅着工などの諸指標を都道府県単位で集計し、都道府県の特性値と類型を明らかにすることと、次年度以降の住宅・土地統計調査個票分析の準備を行うことであった。人口・世帯構成等の諸指標については、住宅着工統計による分析を行い、過去15年間の時期区分別の建設活動の活発さや利用関係別の構成などをもとに都市型と地方型、大都市郊外型などのいくつかの類型を得た。人口分析についてはコ・ホート分析によって、大都市圏郊外地域と地方との明らかな相違が明確になるとともに、東京などの就業中心地の人口構成およびその形成過程がきわめて特徴的であることが明らかになっている。しかしそれらを的確な表現する手段の発見に手間取っているが、次年度中には見通しを得る予定である。 一方、住宅・土地統計調査については、個票の取得が予想よりも早くできたために、もともとこの分析が研究の中心に位置していることもあり、人口・世帯分析よりも先行して進めることとした。現時点ではさまざまの角度から分析を行っているが、視点としては、一つは世帯主年齢や所得などの指標によって住宅市場における公的借家居住者の位置を明確にすること、今ひとつには前住宅などとの関係から、世帯の居住行動の中で公的賃貸住宅がどのような位置にあるかを明らかにすること、などがある。 本年度はいくつかのデータを別個に分析、検討し次年度以降に徐々に関連づけるとともに焦点を絞ることにしている。
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