平成25年度の研究目的は住宅・土地統計調査による公的住宅の位置づけの分析をさらに明確にすることであり、都道府県別の指標偏差が地域特性を表現するのに有効であるとの知見をもとに分析を進めた。方針としては都道府県別の住宅市場に関する指標によって住宅市場の特性を分類し、さらに公的住宅とりわけ公営借家が地域住宅市場のなかでいかなる位置づけにあるかを明らかにした。 まず世帯・住宅指標について主成分分析を用いて多様な類型化を行い、さらにその類型間の相関分析を試みた。主成分分析は世帯関係指標と住宅関係指標とをそれぞれいくつかのパターンで分析した。その結果は一般的な地域特性の認識に沿うものであり、そのような地域特性が公営借家を含む地域住宅市場にも反映していることを示すものであった。 これにより公的住宅とりわけ公営借家の地域住宅市場における分類はある程度は可能になると判断されるが、具体的状況は不明である。そこで、偏差自体の詳細な分析を行うこととしたが、偏差よりも平均値の方が直感的にはわかりやすい。そこでまず平均値の確認を行った。その結果は格差によっての分析が有効であることをうかがわせるものであった。年齢、年収や住宅水準について地域傾向が認められ、地域住宅市場の特性があってその中での公営借家の位置づけがあることを確認することができた。 偏差に基づく分析では主要な指標について、全住宅種類に関しての相関関係を検討した。公営借家に関しては、世帯指標としては、都市域で年齢の偏差が+(全体平均より高齢)で年収偏差-が大きい一方、南日本など年齢が-の都道府県では年収偏差-はさほど大きくない。その中間の都道府県にも2グループがある。また住宅指標については床面積偏差と家賃偏差によって住宅全体平均に比べ床面積偏差が小さい場合には家賃偏差の幅が広く、大きい場合には家賃偏差は小さいなどの明確な地域傾向があった。
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