本年は初年度であったため、平成22年8月、研究対象であるホイアン市において、本研究のキックオフと位置づけられるワークショップを開催した。当該ワークショップでは、ホイアン市長臨席のもと、行政の観光、保存といった関連部局が、観光政策、景観整備、建造物修復などのこれまでの取組みと現状報告を行った。一方、日本側からは本科研の研究代表者が、平成21年にホイアン市と協働で実施した、店舗の営業形態調査の分析をもとにした近年の景観の乱れに関する発表を行った。発表後は、各々の発表から提起された問題についてディスカッションを行い、ホイアンが今後もリビングヘリテージであり続けるためにはどうすべきか、過度の観光地化に対してどのように対応すべきか、現在、行き詰まりつつある観光産業をどうすべきか、新たな観光産業を創出するためにはどうすべきかといった、今後の課題の認識を共有することができた。 平成22年8月には、ホイアンの観光地化の拡大状況を把握するため、ホイアンの全ホテルの分布調査も実施した。また、観光地化の現状を把握する基礎として、ホイアンの全ホテルのグレード、開業年、規模といったホテルに関するデータならびに、年間観光客数などの観光に関するデータ採取を行った。 翌平成23年3月には、観光産業について知るため、ホイアンに多くある観光客向けの洋服店のシステムを把握するヒアリング調査および、1994年から継続して実施しているホイアンの世界遺産エリア内の主要な通りに面している全建物のファサード写真を採取する景観変容調査を実施した。 また、平成23年3月には、次年度にホイアン市と協働で行う、ホイアン市が町並み保存に取組み始めた1985年以降に実施した政策を整理するプロジェクトの詳細を詰める会議も行った。
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