本研究は,建設副産物における物流経路の実態に着目し,最適化した静脈物流モデルの構築を目的とし,一般的に建設解体現場から中間処理施設を経て最終処分場へ流通される建設副産物の静脈物流に関して,建設解体現場から排出された建設副産物の調査分析を行い,構造体に静脈物流の形成に影響を与える要因を解明することを研究目的とした。 東日本大震災の津波によって発生した災害廃棄物の処理・物流に関して,被災県を超えた広域処理が施されながらも,適正処理の策定までには至っていない事について,災害廃棄物における環境指標の解明を試み,海上輸送を活用した廃棄物処理の可能性について検証した。 建設副産物の静脈物流においては,建設副産物の量,種類,運搬先の実態をマニフェスト伝票から調査分析を行い,建設副産物排出量と建設副産物の種類によって再資源化率にバラツキが生じ,再資源化率の低い建設混合廃棄物の排出量に差が生じることを明らかにした。それに伴い,再資源化率の高い建設副産物は重量面を考慮した静脈物流の処理フローが展開される一方,再資源化が困難な建設副産物の排出量の増加は,中間処理施設,最終処分場への輸送先の選択が限られるため,静脈物流の長距離化を形成されることが考えられる事を示唆した。 このように,建築解体プロセスを経て,処理・輸送される静脈物流の形成は,構造種別において個別のパターンが考えられる一方,津波によって,分別なく発生した災害廃棄物の物流に関する環境負荷については,広域処理に伴うトラックの長距離輸送が距離に応じて大量に二酸化炭素を排出し,環境に負荷を与える一方,海上輸送の割合を高めるとトラック同様の長距離化になった場合でも,二酸化炭素の排出量を抑えることができることが分かった。これは,海上輸送の利用比率を8割程まで高めることで二酸化炭素の排出量が低減され,視野に入れた輸送が形成できると考慮できるとまとめた。
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