研究課題
都市マスタープランなどの都市域空間計画における生態系保全は実効性のあるものとはなっていない。原因として生態系保全計画手法の未確立、私有地を有する市民や企業に働きかける必要がありながらもそのための明確な計画立案プロセスが未構築であることがあげられる。本研究は、(1)動植物群の生息圏と植生をGISを用いて対応づけることにより生態系保全上重要な植生を特定する「潜在ハビタット」という概念を用いた、市民にもわかりやすい生態系保全計画手法を開発することと、(2)工場を含む私有地の土地利用転換のタイミングをとらえて生態系保全計画を具体化するための計画立案プロセスのあり方を、ケーススタディを通じてこれらを関連付けつつ、構築することを目的としている。平成22年度においては次の研究を行った。(1)研究プログラムの詳細化を行った。とくに、市街地から樹林地にいたる土地利用の変化と生態系保全計画のあり方について詳細化した。(2)生物種の生息分布条件を明らかにする潜在ハビタット手法については、ENFA、Maxent等の海外での開発モデルについて分析するとともに、注目種の選定を含むわが国への適用性について検討を行った。植生変化を分析することの重要性を把握したので、関東地方を中心に植生の特性(とくに時系列変化)について分析した。(3)生態系の保全を考慮に入れた都市計画として、オランダのデン・ハーグ、アムステルダム、ティルブルグ、ベルギーのブリュッセル市の空間計画・都市計画に関する基礎調査を行った。その結果、オランダにおいては、開発による生態系の損失に対して、同等の生態系の生息地を提供する補償制度があり、アムステルダム市は条例でさらにその制度を強化していることが分かった。
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International Archives of the Photogramme-try, Remote Sensing and Spatial Information Science
巻: Volume XXXVIII ページ: 507-512