1. 研究の目的 本研究は、当初申請予算に対する採択率が3年間で66%であったことから、全国の寒冷地の概ね人口10万人以下の地方都市に絞り、防火建築帯と防災建築街区の実態を調査し、いくつかの街区について改修/建替、中心市街地活性化を含む再生計画を検討し、他の防災街区再生のモデルとすると共に、現行法制度の問題点を明らかにし、制度改正・新設を提案することを目的とする。 2. 研究実施計画 (1) アンケート調査による全国の防火建築帯・防災建築街区のリスト作成 調査の過程で国土交通省「地方都市等における再開発ビル等の再生方策に係る検討調査報告書(平成22年3月)」が同年6月に公表され、それに全国の防災建築街区実態調査報告が掲載されていることがわかった。同報告書を入手し、担当の同省市街地整備課に問い合わせたところ、全体集計結果は公表しているが、個表は守秘義務のため公表できないとのことであったため、本研究独自の文献調査結果リストを同課に送ったところ、「寒冷地の概ね人口10万人」以下の地方都市の防災街区は概ね網羅されているとのことであった。文献調査で防火建築帯・防災建築街区事業が行われたことがわかった自治体に電子メールで現存の有無を尋ねたところ、4自治体で既に存在しないことがわかった。 (2) 現地調査 防火建築帯・防災建築街区が存在している9都市に現地調査を行い、2都市から資料を入手した。うち現時点で明らかな改修/建替えの動きがあるのは鳥取市と大館市のみ、まちづくり全体として活性化に取り組んでいるのが北見市、室蘭市、佐久市の3市、他の6市はほとんど手つかずであることがわかった。鳥取市、大館市と共に、各市とも防火建築帯・防災建築街区のみの改修/建替えではなく、まちづくりの視点が必要であることが明らかとなった。
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