螺旋スロープは内部空間や外部空間においてその形状の美しさや空間的制約からしばしば設置されるが、視覚障害者が螺旋スロープを不自由なく安全に利用できるとは言い難い現状がある。そこで、平成22年度では、既存の螺旋スロープを対象に、全盲の視覚障害者とアイマスクを付けた健常者を被験者として調査を行い、螺旋スロープの昇降のしやすさや安全性、空間把握の方法等を明らかにした。平成23年度では、その螺旋スロープ路面に点字ブロックを敷設し、同様の実験を行った。平成24年度も同様の調査を行ったが、23年度は、被験者の歩行を調査員が制止し、周回数や空間把握について質問するものであったのに対し、24年度は、被験者自ら周回数を判断し、歩行を終了するというものであった。平成24年度の結果を以下に示す。 (1)平成24年度の調査においても点字ブロックの敷設は、周回数の把握において役立つことが確認できたが、方向の把握においては効果が低いことも同様の結果であった。 (2)点字ブロックを敷設する場合は、4分の1周ごとに1ヵ所とし、1カ所あたり点字ブロック2枚を敷設することが最適であることが結論付けられた。ただし、歩行中、点字ブロックの探索に集中しすぎた場合、方向把握が困難になることも考えられた。また、過度に点字ブロックを手掛かりにした場合、点字ブロックの認識次第によって空間把握に影響が大きく出るため、点字ブロック以外の他の手がかりも同時に複数必要であると考えられた。 (3)アイマスク者は、周回数から方向を割り出そうとする傾向があるが、全盲者は、そのような傾向はあまり見られず、音や歩いた感覚等によって方向の把握をする傾向がある。 (4)アイマスク者は、歩行の際に不安感や危険感を強く持っており、これらが周回数の把握や方向の把握を妨げていることが考えられた。不安感や危険感を少なくして歩行できる空間環境が必要である。
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