研究概要 |
第一次調査(平成23年10月3日~18日)ではコルシカ島の重要な海洋小都市、バスティア、ポルト・ヴェッキオ、ボニファチオ、アジャッチオ、カルビならびに内陸小都市コルテを対象に多様な高さからの写真撮影と必要な部分の実測を行うとともに、各都市でフランス語、イタリア語文献・資料を収集した。古代に遡るこの6都市は島の歴史と共にあり、1020年頃、サラセン人の侵入に対し、ピサとジェノヴァの連合国軍が戦いに勝利して以来、1077~1284年はピサ共和国領、続く1284~1768年にはジェノヴァ共和国領となり、約700年にわたりイタリアの領土だったが、1768年以降はフランス領となる。変転する支配が海洋小都市と後背地域の形成にもたらした影響は大きく、都市形態、周辺領域のあり方を精査するための資料を得た。 第二次調査(平成24年1月19日~2月1日)はフィレンヅェ大学図書館、フィレンツェ国立古文書館にて関連文献資料をさらに収集し、海洋都市として重要性が増大した16,17世紀にトスカーナ大公国、ジェノヴァ共和国、プレシディ国(スペインの警備国家)の領土であったティレニア海沿いとエルバ島、コルシカ島の海洋小都市の形成過程を支配権と航路の視点から明らかにした。
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