本研究は、中世以降に住宅・寺院本堂など様々な用途で建設された方丈建築の空間構成のタイプ及びその変遷過程を、修理工事報告書の記載内容及び遺構の実地調査に基づいて考察しようとするものであり、重要文化財に指定されている方丈建築53棟の調査を予定していた。そして、この53棟のうち平成24年度までに45棟の調査を完了していた。 本研究の最終年度である平成25年度には、8月に4棟(正傳寺本堂・盛安寺客殿・圓満院宸殿・正暦寺福寿院客殿)の調査を実施したが、残り4棟についても調査依頼を行ったが、所有者等から謝絶されたために調査を断念し、本調査は修了した。そして、2月に関連補足調査として、重要文化財には未指定であるが桃山期の方丈建築の形式を残す圓徳院方丈などの調査を実施した。 以上の調査で得られた知見については、①内法上装置の種別を表記した200分の1スケール図・②室の連続性を表記した500分の1スケール図を作成してまとめ、さらに③6室部分及び正面側中央室の意匠を考察するために各種数値をまとめたデーターシートを作成した。なお、これらの図及びデータシ-ト作成にあたっては、研究協力者(東京芸術大学大学院生・辻慎一郎)の協力を得た。
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