本年度は、石川県加賀地方において、近世期の加賀国における加賀藩御蔵所に関する史料及び実地調査を行った。その結果、加賀国における御蔵所の型式や地域性が明らかになったので、論文にまとめて日本建築学会論文集へ投稿した(審査中)。 また、本事業のまとめの一つとして、加賀藩御蔵所を取り上げ、御蔵所の型式の国による違いとその原因について検討した。加賀藩は、越中国、能登国、加賀国それぞれに国土の大半を占める領地を有した。その成果の発表は、上記の論文の審査の結果を待たねばならないが、すでに論文としてまとめている。これらの論文については平成26年度中に発表できればと考えている。 最後に、本事業を振り返ってみると、北陸地方には、御蔵所の建物配置が知られる史料が保存されている地域が比較的多くあり、それらの地域では、市町村誌などの郷土誌においても取り上げられていた。その代表的な地域は加賀藩領であり、国毎の比較が可能であった。なお、御蔵所は、河川沿いばかりでなく、海沿いにも多く見られたので、対象を広げて検討した。また、越前国の九頭竜川流域においては、流域における藩毎の違いや共通性について検討できた。調査においてお世話になった方々に深く感謝申上げたい。
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