第一に、北陸地方における諸藩の御蔵所の見取図等の史料の所在を把握できたこと。第二に、それらの史料を用いて長岡藩、加賀藩、福井藩、勝山藩の御蔵所や越後国における郷蔵所の空間構成の共通性、型式とその形成要因を明らかにしたこと。第三に、加賀藩について、国による型式の違いを明らかにしたこと。第四に、九頭竜川流域における御蔵所の空間構成の共通性と藩による違い、それらの原因を明らかにしたことである。近世史及び日本建築史研究における空白部分を埋めるもとともに、地方から見た近世期の日本建築の普遍性や多様性の一端を示し、新たな研究の領域を広げた。
|