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2011 年度 実績報告書

18世紀英国における新古典主義建築と中世復興主義建築の相関性の検討

研究課題

研究課題/領域番号 22560643
研究機関前橋工科大学

研究代表者

星 和彦  前橋工科大学, 工学部, 教授 (70269299)

キーワード新古典主義建築 / 中世復興主義建築 / 建築書 / ラングレィ / 英国 / 18世紀
研究概要

平成23年度における本研究の課題には、(1)18世紀の建築書の分析と建築理論の考察、(2)18世紀中頃から19世紀初頭までを対象とした作品の現地踏査、(3)ピクチュアレスク理論の基礎的検討の3項目をあげた。このうち、(1)に関する、建築書の分析・考察は前年度からの継続研究であるとともに、本研究の核となる部分でもある。対象とした文献は、バティ・ラングレィの『古代の石工術』を中心に、ウィリアム・ハーフペニー、ウィリアム・ペインなどの古典主義の建築書と、ならびにこうした著述家の刊行した中世趣味の図版を主とする建築書とした。古典主義にもとづく建築書の場合、とくに18世紀前半ではイタリア、フランスなど先行する理論の影響を必然的に受けている。しかしそれにとどまらず、とくにラングレィでは同時代の英国の建築作品や建築書も参照していたことから、理論の構築を目指す一方、現実の建物にも適用しうる、より実践的な視点も組み込もうとしている点に特徴が認められた。中世建築については、すでに検討しているラングレィの建築書を基本に、そのほかの文献を検討した。ラングレィは中世建築を学術的に分析しようとする視点ももつのに対して、ほかの著述家では図版を中心に意匠的な観点が強い。18世紀前半では、まだ中世建築の検討方法に方向性がみいだされない一方、こうした各著者のアプローチの差は、(3)の検討にも関係していくと思われる。(2)に関しては、研究者の状況から現地調査を実施できなかった。理論を裏づける実際的な指向の検討という点から、また(3)の課題との関連もあることから、次年度での実施を考えている。(3)に関しては、基本的文献の調査をおこない、肝要なものを省察した。ピクチュアレスク理論自体はその確立が18世紀後半以降であることが知られているので、主として先にあげた著述家の文献を中心に、ピクチュアレスクという用語はあてられていなくても、視点として共通するところが認識できないかを検討した。ラングレィやロバート・モリスには景観的に建築を捉える視点の萌芽も認められた。建築書からはピクチュアレスクの理論の検討よりも田舎に建つ建物の設計が課題とされていることが多いが、景観を考慮に加えた視点は、都市建築を考える基礎となっていると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究のひとつの軸は18世紀の英国の建築書における、古典主義建築と中世復興主義建築の関連性を検討することである。この点に関しては、文献の蒐集と主要建築書の検討を継続して進めており、おおむね順調に進められていると考えている。もう一方の軸である現地調査は、23年度に実施できなかったため、(3)のやや遅れている状況にあると判断する。

今後の研究の推進方策

本年度の研究は、(1)ピクチュアレスクの理論と新古典主義的方法論の関連の考察、(2)18世紀中頃から19世紀初頭までを対象とした作品の現地踏査、(3)研究のまとめを課題とする。(1)に関しては、18、19世紀を特色づけるピクチュアレスクの理論について、文献研究を進捗させるとともに、ピクチュアレスクの理論と新古典主義的方法論の相関性について検討を加える。(2)は23年度に実施できなかったため、本年度の課題とし、この調査も基礎に庭園での解明の進んでいるピクチュアレスクの理論の、都市における展開について、景観的な視点に加え、都市でのファサードあるいは住宅内部での空間構成において、ピクチュアレスクの理論の建築的表現を考察する。こうした結果をもとに、(3)において3年度にわたる研究の成果をまとめる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] イギリスの中世大聖堂を巡る2012

    • 著者名/発表者名
      星和彦
    • 雑誌名

      世界の建築・街並みガイド2イギリス/アイルランド/北欧4国

      ページ: 48-55

  • [学会発表] バティ・ラングレィ著『古代の石工術』の基礎的検討2011

    • 著者名/発表者名
      星和彦
    • 学会等名
      日本建築学会
    • 発表場所
      早稲田大学
    • 年月日
      2011-08-23

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公開日: 2013-06-26  

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