研究概要 |
1)日本民家の部材名称の妥当性の検証前年度の研究で抽出した主要構造部材の呼称群に関して、同位置・同機能の部材に対する仮の標準名称と他の候補名称を選定した。そのうえで、国内でも定評ある辞書・文献計5点により語義解説を比較対照した。さらに、文化財修理等の経験豊富な有識者へ4名にインタビューを行い、仮標準名称の妥当性を検討した。その結果、辞書においても、識者のヒアリングによっても、同一の部材に対して標準名称としてよいもあがある一方で、名称を一意に定められない部材が相当数見られた。 2)海外建物の補足調査英国イングランドおよびウェールズの主要架構の構造形式を把握し、写真撮影により全体および細部を記録した。特にウェールズ特有の架構形式すなわちBox-frame,Aisled,Cruckという異種構造形式が単一の建物に共存する独特な形態を記録し、イングランドとの地域差を把握できた。 前回(2011年3月)調査のデータと併せ、広範な領域に渡るデータを収集できた。 3)日英の断面系統の抽出異なる構法や空間構成のバリエーションをもつ日英両国の架構を同じ俎上で比較し、共通の基準から両国の断面系統を提示した。英国では語彙集N.W.Alcock(1996):"Recording timber framedbuildings:an illustrated glossary"の図版から典型的な28断面を、日本では代表的な民家22棟から計31断面を選定した。ここから抽出した両国の断面系統を比較し、日英の架構と空間構成の相違を考察した。(11.研究発表〔雑誌論文〕その1,2参照) 4)英国の主要部材用語の階層化英国文献の検討:上述のAlcock(1996)と、R,W.Brunskill(1985):"Timber building in Britain"の用語解説を対照したデータベースを作成し、建築用語を空間・構法・部材・接合部などのように分類し、重要度により階層化した。この作業は進行中である。
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