研究課題/領域番号 |
22560653
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所 |
研究代表者 |
秋枝 ユミイザベル 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化遺産国際協力センター, 特別研究員 (80467000)
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研究分担者 |
李 明善 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構(衣笠), 准教授 (20434714)
頴原 澄子 九州産業大学, 工学部, 講師 (40468814)
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キーワード | 文化財保護 / 保存・再生 / 戦災 / 建築史・意匠 / 歴史的建造物 / ベルギー:イギリス:韓国:日本 / 復旧 |
研究概要 |
本研究の目的は、対象地域における当該文化財建造物の復旧過程について以下を中心に調査を行い、その特性及びその後の保護制度の展開を比較し、各国の共通点と相違点を明らかにすることである。そのために、戦争による被害を実際受けた文化財建造物の復旧事例分析と並行して、戦争前後における文化財保護制度の理論考察を行い、これらの相互の関係・影響について解明する。研究方法としては、主に以下の手順で行なう。1.基本資料収集:既存文献、データベースなどによる基本情報収集。2.現地調査:被災前後の史料収集、復旧当時の行政文書、図面・写真資料収集。文化財管理当局へのヒアリング調査。3,分析:復旧事例・保護制度の特性分析。4.研究分析成果のまとめ、報告、成果発信。 研究初年度である平成22年度は、現地調査として韓国における被災前後の史料収集、復旧当時の行政文書、図面・写真資料収集、文化財管理当局へのヒアリング調査を行った。調査は韓国のソウル及び大田を中心に、近代建築および各宮廷施設を視察し、韓国国家記録院、韓国文化財庁など文化財行政についての史料およびヒアリング調査を行った。 ソウル景福宮の正門光化門は、日本統治時代に取壊しの危機にあい、反対運動で移築されたが、朝鮮戦争時に焼失、その後再建されていたが、昨年朝鮮総督府を撤去し、元の位置に復元された。政治状況に翻弄され、何度も復興されてきた光化門の変遷過程から、韓国における古遺跡、文化財保護の理念の変化が読み取れた。また、韓国文化財庁および韓国国家記録院で行った資料探索の結果、朝鮮戦争時の資料は、日本統治時代以上に資料が散逸している状態であることが判明した。 韓国における戦災復興についての研究は、文化財保護政策の視点からだけでなく、一般的な都市計画の視点から調査研究を進めてゆく必要があると思われる。
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