研究課題
スピントロニクス材料として期待されるいくつかの遷移金属合金の伝導特性を第一原理計算から評価する手法を確立し、物質毎の特性の違いを定量レベルで明らかにすることを目的として研究を行ってきた。この中で当該年度は、久保公式の下で、スピン軌道相互作用を考慮した強結合ーLMTO法により、磁性合金の電気伝導テンソルに関する第一原理計算を行い、原子構造や磁気構造の乱れ、スピン揺らぎが電気伝導度、異常磁気抵抗効果(AMR)、異常ホール効果、スピンホール効果およびスピン分極率に与える影響を定量的に評価した。具体的には、平成23年度に作成したプログラムにスピン軌道相互作用を考慮し、Fe-Ni、Fe-CoおよびPt-Au合金などの物質の様々なスピン配列に対して電気伝導度テンソル(非対角成分を含む)の計算を実行し、AMRやAHEに関する実験との比較を行い、計算の妥当性を確認するとともにこれら物質のスピントロニクス材料としての可能性を評価検証を行った。fcc-Fe-Ni合金についてAMR効果の計算を行ったところ、fcc-NiでAMR比が20%程度となり、Fe濃度の上昇とともにAMR比が低下してFeが50%程度でほぼ0となった。この結果は、従来の実験結果とよく一致することが確認された。また、異常ホール伝導度については、fcc-Niで約-2000(Ωcm)**(-1)程度の値を示し、Fe濃度が10%程度でほぼ0となる結果が得られた。但し、bcc-Feでは約500(Ωcm)**(-1)であり、実測の70%程度となった。更に、非磁性金属であるPt-AuやPd-Ag合金のスピンホール伝導度についても計算を行い、内因性成分と外因性成分の組成依存性について詳細な検討を行った。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (6件)
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