研究課題/領域番号 |
22560659
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
入澤 明典 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (90362756)
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研究分担者 |
加藤 龍好 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (20273708)
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キーワード | 放射光 / 赤外 / テラヘルツ / 固体電子 / FEL |
研究概要 |
課題研究の2年目である本年は、大阪大学産業科学研究所附属量子ビーム科学研究施設のLバンドライナックを用いたTHz-FEL光源および分子科学研究所UVSOR 6B,7B,および実験室を中心とした多元極限下での固体電子状態の研究を引き続き行った。新奇合成された巨大磁気抵抗(CMR)を示す強相関化合物に対しての低温、磁場下での応答変化を調べ、電子状態の変化を考察した。磁気応答のエネルギースケール(~meV)は光の周波数に換算するとテラヘルツ領域であるため、THz-FEL光源によるポンプ・プローブやミクロイメージングの実験を計画し、光学系の選定、購入および予備実験を始めた。ポンプ・プローブでは偏光特性をコントロールして利用するための光学設計を行い、イメージングでは集光レンズ系やテラヘルツカメラの選定、導入と、スキャニング用の精密自動ステージの選定、導入、予備実験を始めた。これらの器機を波長分散測定、パルス同期測定に対応させるためのコントロールプログラムの改良を行った。現状ではライナックの電子ビームのタイミングと同期の取れない器機も存在するため、完全なデータ取得の実験が困難であり、タイミングシステムの改良計画もメーカーと協議している。これらの最終的な統合により、転移点近傍での相分離やドメイン構造の直接観測、さらに分子結晶などの偏光特性評価も視野に入れた利用が可能な実験手法へと構築していく。研究成果は国内会議および国際ワークショップでの口頭発表、原著論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究目的の温度、圧力、磁場を制御した赤外分光の達成において温度制御用のチャンバー作成は完了、低温高圧下での研究成果としては原著論文の投稿、テラヘルツ自由電子レーザーを用いた分光測定はパルス光の制御および計測に課題が残るが、日本物理学会での報告を含め着実に進展している状況であるため、以上の評価を下した。
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今後の研究の推進方策 |
現在磁場制御による赤外分光は分子科学研究所の設備を利用することで成果が出ているため、継続して推進する。自由電子レーザーを用いた分光測定は所属変更に伴い光源自体の制御も手がけることが可能となったため、電子銃の安定化とビームライン制御、テラヘルツ光検出の改良開発を軸に光波長制御の確立を目指し、最終的な固体物性測定にたどり着く方針である。
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