| 研究概要 |
高温で使用する構造材料についてはクリープの構成式(一般的には,クリープ速度,応力,温度,組織の関係式)を求めることが重要であるが,それにはある程度の試料サイズが必要となる.しかし,実機構造部材として使用中又は開発中の耐熱材料のように,微小なサンプルしか採取できず,引張クリープ試験ができないような場合には,計装化押込み試験を実施してクリープの構成式を得ることができれば有益である.本研究の目的は,一定圧力押込みクリープ試験の結果を用いて引張クリープ或いは単軸クリープの構成式が十分な精度で予測できることを示すことである.これを達成するために,押込みクリープの擬定常状態変形に関する構成式を導出し,Al-Mg固溶体合金をモデル材料とした計装化押込み試験とFE解析を実行して,次のような結果を得た.円錐形圧子による押込み圧力と押込みクリープ速度〓inが一定(p=ps,〓in=α)のとき,圧子直下の領域における相当応力〓と相当塑性歪み速度〓の等高線パターンは幾何学的な自己相似性を保ちながら拡がっていく.このとき擬定常状態変形が実現する.圧子の押込み速さを実質的に決定しているクリープ変形領域/をコントロールボリューム(CV)といい,応力指数がn=3.0の場合,この領域の大きさは〓〓α/180と見積もられる.この領域のクリープ挙動を代表する所をCV代表点といい,この点における代表相当応力は〓=p/3.であり,代表相当歪み速度は〓=α/3.6である.また,CV内の相当塑性歪みの平均値は約004である.Al-5_3mol%Mg固溶体合金やMg基二相合金の押込み試験結果について,この方法で整理したところ,引張クリープに関する構成式(クリープ定数を含む)を十分な精度で予測することができることが示された.
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