研究課題/領域番号 |
22560662
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
小野寺 秀博 独立行政法人物質・材料研究機構, 企画部門・評価室, 室長 (20354144)
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キーワード | 水素貯蔵合金 / V-H系 / オーダリング / クラスター変分法 / 体心正方晶 / 侵入型八面体サイト / 変形四面体近似 / 第三近接相互作用 |
研究概要 |
A-B2元系の規則-不規則変態挙動は、第二近接より高次の有効相互作用エネルギー(DE=eA-B-(eA-A+eB-B)/2)の影響が大きく、各結合エネルギーと配置のエントロピーを陽に取り入れたクラスター変分法による解析が重要な示唆を与える。 初年度(22年度)はb1構造のOZ1+OZ2サイトについて、6種類の四面体クラスターを基本とする配置エントロピーの定式化を行い、エンタルピー項を第二近接までの原子間結合エネルギーの総和で表し、クラスター変分法による規則-不規則変態の解析を行った。その結果、b1構造の安定度はz軸方向の第二近接相互作用よって支配されており、DEが負で大きな値となるほど規則度が増大することがわかった。しかし、変態温度近傍では計算結果が不安定となり、規則-不規則変態温度を正確に決定できなかった。これは、b1構造の安定化には第二近接までの原子間相互作用だけでは不十分であることを示しており、第三近接より遠距離の相互作用を考慮する必要があると考えられる。 平成23年度は、第三近接相互作用まで考慮するため、9-ポイントクラスター及び八面体クラスターを独立変数とする配置エントロピーの定式化を行い、エンタルピー項を第三近接までの原子間結合エネルギーの総和で表して、クラスター変分法による規則-不規則変態の解析を試みたが、計算が収束せず、解析を進めることができなかった。この原因として、b1構造を記述するクラスターの重なりに起因する変数間の拘束条件が適切に取り込まれていないことが考えられる。 そこで、最終年度(24年度)は、2種類の9-ポイントクラスター、4種類の八面体クラスター、8種類の5-ポイントクラスター、6種類の四面体クラスター、8種類の三角クラスター、及び11種類の対クラスターについて、クラスターの重なりによる拘束条件を付加することにより、クラスター変分法による解析プログラムを完成するとともに、z軸方向の第二1近接相互作用及びx-y平面上の第三近接相互作用が規則化に及ぼす影響について解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度に予定していた9-ポイントクラスター及び八面体クラスター近似によるクラスター変分法の定式化はできたが、計算が収束せず、解析までを実行できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に計算がうまく行かなかった原因として、b1構造を記述するクラスターの重なりに起因する変数間の拘束条件が適切に取り込まれていないことが考えられる。そこで、最終年度(24年度)は、9-ポイントクラスター、八面体クラスター、5-ポイントクラスター、四面体クラスター、三角クラスター、及び対クラスターについて、クラスターの重なりによる拘束条件を付加することにより、クラスター変分法による解析プログラムを完成するとともに、z軸方向の第二1近接相互作用及びx-y平面上の第三近接相互作用が規則化に及ぼす影響について解析を行う。
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