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2011 年度 実績報告書

潜在的負の熱膨張物質の探索とその特性の顕在化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22560665
研究機関筑波大学

研究代表者

山村 泰久  筑波大学, 数理物質系, 准教授 (80303337)

キーワード負の熱膨張 / 熱膨張 / フレームワーク構造 / 格子振動 / フォノン
研究概要

材料の高度な熱膨張率制御のため,熱収縮をする「負の熱膨張材料」の研究が進められているが,広い温度範囲で負の熱膨張特性を示す物質は限られる.本研究では,新たな「負の熱膨張材料」の創出を目指し,研究代表者の提唱による潜在的に負の熱膨張特性を有する物質群の探索と化学修飾による潜在的負の熱膨張特性の顕在化方法の確立を目的とする.本年度は,潜在的に負の熱膨張特性を有する物質の探索の基礎を築くために,フレームワーク構造と強固な化学結合を有し,陽イオンサイトを様々な陽イオンで置換することが可能なA_2B_3O_<12>系化合物をとりあげた.本年度はこのBサイト置換体に注目し,Sc_2W_3O_<12>とSc_2Mo_3O_<12>の固溶体の研究を行った.さまざまな組成の固溶体を合成し,その試料の評価と,室温以上における熱膨張特性について,粉末X線回折測定を行い,全組成範囲において,高温相では負の熱膨張を示すことを明らかにした.一方,低温ではSc_2Mo_O_<12>が正の熱膨張を示す結晶構造になる構造相転移が存在することから,これらの固溶体の相転移温度を調べ,相図の作成を試みた.それらの固溶体試料の低温における熱容量測定を行ったところ,広い組成範囲で,Sc_2Mo_3O_<12>と同様の構造相転移が生じることがわかった.その相転移温度の組成依存を検討した結果,融解温度以下の全温度領域で負の熱膨張を示すSc_2W_3O_<12>でさえも,正の熱膨張を示す結晶構造を潜在的に有する可能性がわかった.この結果は,結晶の安定性と,負の熱膨張の発現との関係に重要な関係があることを暗示し,本研究の目的に対して重要な意義を持つと考えられる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

震災の影響で試料合成や測定に関して支障が出たが,復旧後に実験を急いだ.

今後の研究の推進方策

現在扱っている化合物系の研究を推し進めるとともに,他の化合物系についても取り組む.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] 広い温度範囲で熱収縮を示す負の熱膨張材料2011

    • 著者名/発表者名
      山村泰久,齋藤一弥
    • 雑誌名

      セラミックス

      巻: 46 ページ: 922-926

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 温度上昇で収縮するセラミックス2011

    • 著者名/発表者名
      齋藤一弥, 山村泰久
    • 雑誌名

      化学と教育

      巻: 59 ページ: 86-87

    • 査読あり

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公開日: 2013-06-26  

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