研究概要 |
(La1-xBax)CoO3(x=0.35,0.40,0.45)強磁性焼結体とBaTiO3強誘電焼結体を接着剤で貼り合わせた素子を作製し,その電気磁気結合係数を測定した。その際,BaTiO3の電気分極を整列させるために,500 V の直流電圧を印加した状態で140℃から室温まで冷却し,磁化を整列させるために,145 Oeの直流磁場を印可した状態で室温から77 Kまで冷却した。77 Kでの電気磁気結合係数は1.0 mV/cm/Oeであった。この電気磁気結合係数は77 Kで-145 Oe~+145 Oeの範囲の直流磁場を印可しても変化しなかった。昨年度得られた結果と合わせると,(La,Ba)CoO3は(La,Sr)CoO3よりもさらにハードな強磁性体であると結論される。 導電性を持つSr(Ti,Nb)O3単結晶基板上にゾルゲル法でPb(Zr0.52Ti0.48)O3圧電体薄膜を成膜した。DEループにヒステリシスが観測され,強誘電性を示すことが確認された。また,X線回折実験から,薄膜結晶はSr(Ti,Nb)O3単結晶に強く配向していることが明らかになり,エピタキシャル成長している可能性が示唆された。 Pb(Zr0.52Ti0.48)O3薄膜を(La0.7Sr0.3)MnO3および(La0.7Sr0.3)CoO3強磁性焼結体上にゾルゲル法で成膜し,その電気磁気結合係数を測定した。Pb(Zr0.52Ti0.48)O3薄膜の強誘電転移温度が高いため電気分極を整列させることが難しかったが,150℃で30 Vの電圧を印可することで電気分極を部分的に整列させることができた。その素子の電気磁気結合係数はMn系で75 mV/cm/Oe,Co系で80 mV/cm/Oeと焼結体素子よりも1桁以上大きな値を示した。電気分極を完全にそろえることでさらなる特性の向上が期待できる。
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