以前の研究は物質探索を目的としており、サンプル合成法は固相反応法で、短時間で数多くの組成のサンプルを合成していた。しかしながら、液相法や気相法に比べ組成の均一性が十分でなく、またカチオン欠損などの欠陥濃度もかなり高いものと推測される。これらの組成不均一性や欠陥は、バンドギャップを見積もる際に測定する光吸収や目的とする発光中心の蛍光に影響を及ぼす可能性がある。実際に、サンプルの合成法により見掛けの吸収端が異なることがわかっており、同じ粉末サンプルでも固相反応法で得たものは吸収端付近に欠陥に由来すると思われる吸収が存在し、溶液法で得られたものはそれが見られない。本年度は、粉末サンプルに対しては溶液法を採用し、錯体重合法や水熱法を試み、組成が均一な高結晶性の粉末サンプルを得た。発光強度は、錯体重合法と水熱法ともに、従来の固相反応法で得たものより強くなった。また、策体重合法に関しては、固相反応法と比較して、吸収端の吸収が減少した。これらの結果から、解析に適した粉末サンプルを得られたと考えられる。
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