研究概要 |
各希土類イオンを添加したCaMO3(M=Sn,Zr)サンプルを作製し、光吸収スペクトルや蛍光・励起スペクトルなどの基本的な光学測定を行った。Eu3+の励起スペクトルから、CTSバンドの現れるエネルギー位置を求め、価電子帯より高いエネルギーに位置するEu3+のエネルギー位置を決めた。Eu3+のエネルギー位置をもとに各希土類イオンの相対的なエネルギー位置を求め、CaMO3(M=Sn,Zr)中のおよそのエネルギー位置が理解できた。さらに、得られた結果をSn系とZr系で比較し、得られるスペクトルの違いを考察した。以前の実験結果から発光中心がTb3+の場合、Sn系とZr系ではスペクトルの形状が異なり、Sn系では5D4-7FJ遷移の発光のみ観察され、5D3-7FJ遷移の発光が観察されない。今回求めたエネルギーレベルからこの現象を説明するエネルギーレベルの違いを調べると、Zr系の場合は伝導帯のエネルギーが十分高く、発光の始状態になる5D3のレベルがバンドギャップ中に存在するがわかった。一方、Sn系の場合は、伝導帯のエネルギーが低く、5D3のレベルが伝導帯の中に入ることがわかった。Sn系では始状態の5D3レベルが伝導体中に位置することが、5D3レベルからの発光を阻害しているものと推測された。
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