本研究ではプロトン導電体BaCe0.9Y0.1O3.8薄膜をスパッタ法により作製し、軟X線分光による電子構造の研究を通して、欠陥および不純物濃度に関する知見を得た。薄膜は、プロトン伝導する温度領域(500℃)で結晶化し、バルクに匹敵するプロトン伝導度を示した。X線吸収分光の測定では、バンドギャップ中にホールとアクセプター準位の構造を示し、伝導帯直下に酸素欠陥に起因する構造が観測された。これらの構造を定量的に解析すると、アクセプタ-置換量の30%がホールに、約70%が酸素欠陥を生成する要因になっていることが明らかになった。
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