研究課題/領域番号 |
22560673
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研究機関 | 財団法人 名古屋産業科学研究所 |
研究代表者 |
大里 斉 財団法人 名古屋産業科学研究所, 研究部, 上席研究員 (20024333)
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研究分担者 |
籠宮 功 名古屋工業大学, 工学部, 准教授 (40318811)
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キーワード | 誘電体 / マイクロ波・ミリ波誘電体 / 結晶化ガラスセラミックス / コーディエライト / インディアライト / オーダリング / リートベルト解析 |
研究概要 |
研究の目的 近年、非圧縮画像転送(PAN、LAN)やプリクラッシュセーフティーシステム等に於いてミリ波用誘電体基板の利用が進んでいる。ミリ波用誘電体としては誘電率の小さい珪酸塩が注目される。中でもコーディエライトは誘電率が低く、温度特性が良い点に注目して研究を始めた。更に、Niのドープにより高品質係数(高Q)化し、対称性の高いインディエライト構造に近づくことが明らかとなった。そこで、本研究では、ミリ波用誘電体材料として低誘電率・高Qのインディエライトの研究開発を目的とする。 インディアライト・ガラスセラミックスの合成 ・本研究の目的材料である低誘電率・高Qの生成条件を明らかにした。インディアライトの生成量が多いほど高Q材であった。焼成温度は低温側の1200℃でインディアライトが95%以上、焼成時間は短時間の10時間で100%近くの値が得られた。誘電率4.7、Qf 200000GHz程度の特性の優れた材料を得ることができた。 ・インディアライトは、従来対称性が高いので高温型と見なされてきたが、低温(1200℃)・短時間(10h)で生成することが明らかとなった。品質係数Qとオーダリングの関係は、オーダしていない対称性の高いインディアライトの方が高いことが確認された。我々のこれまでの主張を補強するものである。 ガラスセラミックスのクラックの低減 ・前年度得られた低誘電率高Qガラスセラミックスの問題点であるペレットの変形・クラックの低減を検討した。クラックの原因である表面失透化を避ける為に、結晶核生成条件の探索を行った。ガラス転移点以上、ガラスの結晶化温度当たりまで探索を行ったが、いずれも結晶核が得られず結晶化しないか表面失透するものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に、インディアライト/コーディエライトガラスを作製し、その結晶化条件を検討し、目的の特性:低誘電率(4.7)、高Q(Qf 200,000GHz以上)を得た。しかし、サンプルの変形やクラックが存在し、その克服が課題である。
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今後の研究の推進方策 |
サンプルの変形やクラックの対策には、表面結晶化でなくボリュウム結晶化が有効である。インディアライト/コーディエライトの初晶領域で結晶核の生成条件を探索し、ボリュウム結晶化の組成を決め、クラックや変形のない低誘電率・高Qの結晶化ガラスを得る。また、共振周波数の温度特性の改善とボリューム結晶化には、インディエライトと逆の温度特性を持つルチル(TiO2)の添加の効果を明らかにする。
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