粒界ナノストイキオメトリー制御型複合酸化物のモデルサンプルとして、AB204系スピネル(A/B:Mg/Al)不定比化合物を作製した。構成金属イオンの比率を0.1mol%~1mol%のオーダーで変化させ、温度1100℃~1800℃で行い、点欠陥反応・イオン価数制御を目的として、高温大気炉、真空炉および雰囲気制御炉を適宜使用した。サンプルの焼結緻密化挙動および粒成長挙動から、酸化物多結晶体の微構造発達過程に及ぼすストイキオメトリーの効果を検証した。また、Y_2O_3母相系/Y_2O_3添加系酸化物多結晶体を例として製造・焼結環境が及ぼすストイキオメトリーへの効果についても調べ、電場/応力場印可に依存する点欠陥反応を示唆するデータならびに焼結性・粒成長をはじめとする微構造形成過程への影響を見出した。特に、こうしたナノストイキオメトリーの制御は焼結性向上に効果があることが判明した。平成23年度には、こうした知見を複合酸化物に適用する予定である。さらに、作製した試料の各種伝導特性(光学特性、イオン/電気伝導性)、力学特性を評価に着手し、種々の計測器を導入した。
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