• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

薄膜における異相界面の理論解析

研究課題

研究課題/領域番号 22560680
研究機関一般財団法人ファインセラミックスセンター

研究代表者

FISHER Craig  一般財団法人ファインセラミックスセンター, ナノ構造研究所, 上級研究員 (80524925)

キーワード酸化物薄膜 / 理論計算 / 酸素イオン伝導性 / 超伝導体 / 異相界面 / ペロブスカイト型酸化物
研究概要

平成23年度には、ペロブスカイト型酸化物の結晶構造および酸素イオン伝導性に注目した。ペロブスカイト型酸化物の組成・構造などを原子レベルで検討するため計算機シミュレーション手法として、古典力学に基づいた経験的なポテンシャル関数と格子静力学法を用いた。結果としてはペロブスカイト型酸化物における酸素イオン伝導に影響を及ぼす因子および特性の傾向を明らかにした。また、ペロブスカイト型酸化物/岩塩型酸化物系薄膜における異相界面の原子構造および特性を検討した。このテーマでは量子理論に基づいた第一原理計算および格子静力学法を採用した。その結果、(1)ペロブスカイト型BaZrO_3と岩塩形MgOの表面構造・安定性を系統的に検討して、もっとも安定な表面方位を解明した。BaZrO_3もMgOも、(001)の表面が最低な形成エネルギーであることが確認できた。(2)超伝導体テープに使用されるBaZrO_3中間層とMgO基板の間における異相界面の構造を解明した。計算結果により整合性の高い(001)[001]BaZrO_3/(001)[001]MgOの界面において、BaZrO_3結晶の最表面が(001)Zr-O_2面であり、酸素副格子の積層順序が変わらないことを明らかにした。強度の高い安定な界面であることが推定された。(3)結晶構造の歪みは界面から2層目まで約5Åの範囲に確認された。(4)BaZrO_3,MgOの結晶内と比較して、異相界面では電子密度の変化は小さいが、バンドギャップが狭くなる。以上、4つの成果を獲得した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

超伝導体テープの薄膜における異相界面の構造をシミュレーションし、結合や特性を原子・電子レベルで解明した。成果の学会発表は行ったので、今後は論文として発表していく。

今後の研究の推進方策

今後の推進方策としては、実験家との共同研究を目指し異相界面に関する最新の実験結果に注目していく。特に電子顕微鏡観察による異相界面の複雑な構造をシミュレートして、構造と特性の依存性を検討する。
計算手法としては分子動力学(MD)法を用いて、特性と構造の依存性を系統的に明らかにする。一方、MD法で得られない電子状態(電子密度分布、点欠陥形成エネルギーなど)を第一原理計算によって行う。これらの手法で得られる結果を組み合わせ、・マクロな材料特性につなげることで、最適な薄膜界面の設計指針を定める。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Computer Simulation of Coherent BaZrO_3/MgO Interfaces2011

    • 著者名/発表者名
      Craig Fisher, Akihide Kuwabara, Hiroki Moriwake
    • 雑誌名

      Journal of the Ceramic Society of Japan

      巻: 119 ページ: 861-866

    • 査読あり
  • [学会発表] Heterogeneous Interfaces in YBCO Thin Film Superconductors2012

    • 著者名/発表者名
      C.A.J.Fisher, Y.Sugawara, T.Kato, A.Kuwabara, H.Moriwake
    • 学会等名
      Zing Conference on Solid State Chemistry
    • 発表場所
      スペイン、ランザロテ
    • 年月日
      2012-02-25
  • [学会発表] Defects, Dopants and Ion Conductivity in A^<3+>B^<3+>O_3 Perovskite Oxides : A Systematic Comparison2012

    • 著者名/発表者名
      Craig Fisher, Akihide Kuwabara, Hiroki Moriwake
    • 学会等名
      Zing Conference on Solid State Chemistry
    • 発表場所
      スペイン、ランザロテ
    • 年月日
      2012-02-25
  • [学会発表] Modeling of Oxide Interfaces2012

    • 著者名/発表者名
      C.A.J.Fisher, A.Kuwabara, H.Moriwake, H.Oki, Y.Ikuhara
    • 学会等名
      36th International Conference and Expo on Advaneed Ceramics and Composites (ICACC2012)
    • 発表場所
      米国、デイトナビーチ
    • 年月日
      2012-01-24
  • [学会発表] 原子レベルによるBaZrO_3/MgO異相界面の構造・特性2011

    • 著者名/発表者名
      クレイグ・フィッシャー、桑原彰秀、森分博紀
    • 学会等名
      第21回日本MRS学術シンポジウム
    • 発表場所
      横浜市開港記念会館
    • 年月日
      2011-12-19

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi