研究課題/領域番号 |
22560682
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田邊 靖博 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70163607)
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キーワード | CFRP / 衝撃試験 / ドリル加工 / 複合材料 / マトリックス樹脂 / ゴム微粒子 / 飛翔体 |
研究概要 |
(1)目的 機械加工性と材料構成要素との関係を明らかにして、耐衝撃性能のみならず機械加工性にも優れた安心・安全で生産性の高い高速輸送機器用CFRP開発のための総合的な材料設計指針を提案することを目的とする。 (2)結果・意義・重要性 プラスチック、セラミックス、氷(雹を模擬)、ゼラチン(鳥を模擬)を飛翔体として衝突実験を行い、飛翔体の運動エネルギーがCFRP損傷の重要な因子であること、同一運動エネルギーの場合は寸法が小さいほど大きな破壊を招くことを特定した。しかし、飛翔体の変形や飛翔体自信の破壊もCFRP損傷に大きく影響していることも明らかになった。このことについては、次年度に解明したいと考えている。昨年度、試料の撓みが運動エネルギー吸収に重要な役割を果たしていることを明らかにしたが、これを3次元解析から定量化し、組み合わせによって20-30%の違いが生じることを明らかにした。機械加工性の向上に効果が認められたゴム系微粒子を添加した樹脂をマトリックスとするCFRPを作製し、飛翔体衝突試験ならびに静的強度試験を行い、静的特性と衝撃特性ともに、これまでのマトリックス樹脂よりも優れていることを明らかにした。 ゴム系微粒子を添加したエポキシ系樹脂ならびにこれまでのエポキシ系樹脂について、ドリル穿孔時のスラスト力を測定し、ゴム系微粒子を添加することでスラスト力を低減できることを明らかにした。 これらの結果から、耐衝撃性能のみならず機械加工性にも優れたCFRPを作製するための、基本的な因子を把握することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の交付申請書に記載した「研究の目的」の内容は、達成できた。しかし、飛翔体の変形や飛翔体自信の破壊もCFRP損傷に大きく影響していることが明らかになった。このことは、飛翔体の材質によって、CFRPの損傷にも影響を与えることを意味している。本年度の成果が、特別な条件下での結果でないことを確認する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
大きな変更はない。また、特段の問題点も生じていない。衝撃特性と加工性の両立についての基本的な指針を得ることができたので、これをもう少し幅広く確認していきたい。また、加工の一つとして重要となると考えている、開発樹脂のCFRP同士の接着特性も評価するよていである。 しかし、予期していないことが明らかになったことも事実であり、まず、寸法の異なる飛翔体を用いて、飛翔体の運動エネルギーと形状・寸法との関係を明らかにし、本年度の成果が、特別な条件下での結果でないことを確認する。そのための改良を今年度末から次年度当初にかけて行う。
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