複合材の耐衝撃性を精密に評価することは、航空機体などの複合材構造物の安全設計上不可欠であるが、衝撃荷重下における機械的特性を決定する試験法は未だ確立されていない。各種複合材の高ひずみ(負荷)速度下での面内引張り強度、面内圧縮強度、層間せん断強度、層間破壊じん性は、種々の試験法を適用して評価されてきた。しかし、現状では信頼性のある衝撃特性データはあまり多くない。 著者らはホプキンソン棒法を適用して、カーボン/エポキシ複合材の板厚方向の衝撃圧縮・引張強度や、一方向強化カーボン/エポキシ複合材の衝撃層間せん断強度を評価し、ひずみ速度がそれぞれの強度特性に及ぼす影響を明らかにした。 一方、破壊力学に基づくモードII衝撃層間破壊じん性の評価については、JIS に規定された端面切欠き曲げ試験片による静的層間破壊じん性は決定できたが、動的ひずみエネルギ解放率に基づく衝撃層間破壊じん性の決定は、衝撃3点曲げ試験において試験片に作用する動的荷重の測定精度が悪く、妥当な評価ができなかった。そのため、試験片形状寸法の変更、衝撃荷重測定用の弾性棒の材質、形状寸法の変更を含めて測定系の改良を継続している。 平成25年度の研究成果としては、2つの講演会における講演発表2件、衝撃工学に関する専門図書1編(編著)である。
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