研究概要 |
カーボンナノチューブ(CNT)を表面改性し,磁性体金属粒子を担持させることにより磁性体担持CNTを創成し,高い電磁波遮蔽効果を発現できるナノファイバーを開発する.そのため,まずカーボンナノチューブの凝集しやすい特性を改善するため,種々の攪拌方法および最適処理条件下での抽出を検討し,CNTの分散性の改善を行った.特に,形状記憶ポリマーに溶媒を用い,CNTの分散性を高めた.得られた試料の電磁波遮蔽特性の測定には,透過減衰量測定装置およびベクトルネットワークアナライザから構成された測定周波数領域2.6-18GHzの電磁波評価システムを用いた.その結果,電磁波遮蔽効果は明確に向上していることが明らかになった.同時に材料の表面反射,材料内部の吸収による遮蔽メカニズムを検討し,電磁波の評価法を初期的に確立した. また,強磁性体担持カーボンナノチューブを創成するため,まず磁性粒子の試作および中空磁性粒子の創成を各種条件下で試行錯誤した.その結果,中空のPoly (aniline-co-pyrrole)-Fe_3O_4球状粒子の創成に成功した.また,得られた中空粒子の構造分析及び熱安定性を評価し,安定性の高い粒子が得られたことが分かった.なお,これらの材料の電磁波遮蔽効果が期待されるが,更なる高磁性特性を得るためには,より詳細な製造条件を検討する必要がある.
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