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2011 年度 実績報告書

微細ラメラ組織を利用した超高強度耐熱マグネシウム合金の創成

研究課題

研究課題/領域番号 22560695
研究機関東京工業大学

研究代表者

寺田 芳弘  東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (40250485)

キーワードマグネシウム合金 / Mg-Ca系 / クリープ変形 / ラメラ組織 / 転位 / クリープ変形機構 / クリープ破断寿命
研究概要

Mg-Ca系亜共晶合金は,初晶α-Mg相と共晶α-Mg/C14-Mg2Ca微細ラメラの混合組織を有する。マグネシウム合金の高温強度向上に果たす微細ラメラ相の有用性を評価するために,三種類のMg-Ca系亜共晶合金について,そのクリープ特性を温度473K,応力50MPa以下の低応力において調査した。本年度は,クリープ強度に及ぼす微細ラメラ体積率の影響および本系合金における転位下部組織を明らかにするとともに,クリープ変形機構についても調査を行った。得られた成果を,以下に総括する。(1)応力負荷直後の遷移クリープ域初期において,クリープ速度はCa量によらずほぼ一定となり,その応力指数は1となる。これに対し,最小クリープ速度は,Ca量の増加に伴い単調に減少する。そして,最小クリープ速度の応力指数は4となる。これらの結果は,本系合金のクリープ変形機構が転位の上昇運動であることを示唆している。(2)初晶α-Mg粒内および共晶α-Mg/C14-Mg2Caラメラ組織内部ともに,鋳造時に多量の転位が導入される。初晶α-Mg粒内における転位の性状を解析したところ,大部分の転位は六方最密構造の底面上に位置しており,また,ラメラ組織中の転位は,α-Mg相およびC14-Mg_2Ca相の2つの相を貫通するように存在している。本系合金のクリープでは,鋳造時に導入された初期転位の容易すべりによりクリープ変形が生じ,このため遷移クリープ初期におけるクリープ速度の応力指数は1になるものと考えられる。(3)Mg合金におけるクリープ破断寿命は,ラーソンミラーパラメーターにより整理され,ラーソンミラーパラメーター定数は15から20の範囲となることが明らかとなった。この知見は,耐熱マグネシウム合金におけるクリープ破断寿命予測にあたり有用と考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の研究代表者は,平成23年4月に名古屋大学から東京工業大学へ異動となった。異動に伴う研究機器の移設・立上げ等に時間を費やしたが,全体として研究はおおむね順調に進捗しているものと判断される。

今後の研究の推進方策

これまでの研究結果から,ラメラ組織を構成するα-Mg相およびC14-Mg_2Ca相の二相の中で,C14-Mg_2Ca相が高温強度向上に有用であることが明らかとなった。この結果を受けて,C14-Mg_2Ca相の体積率をさらに高めたMg-Ca二元系過共晶合金の高温強度調査が,新たな研究課題として必要であるとの認識を得た。次年度では,Mg-Ca二元系過共晶合金について,組織とクリープ強度との関係を明らかにすることとする。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Ni基鍛造合金におけるγ'相の組織安定性に及ぼす格子ミスフィットの影響2011

    • 著者名/発表者名
      泉幸貴, 寺田芳弘, 竹山雅夫
    • 雑誌名

      耐熱金属材料123委員会研究報告

      巻: 52 ページ: 363-374

  • [雑誌論文] Creep Characteristics of a Hypoeutectic Mg-Ca Binary Alloy with a Near-Fully Lamellar Microstructure2011

    • 著者名/発表者名
      Y.Terada, M.Tsukahara, A.Shibayama, Y.Murata, M.Morinaga
    • 雑誌名

      Scripta Materialia

      巻: 64 ページ: 1039-1042

    • DOI

      10.1016/i.scriptamat.2011.02.016

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Assessment of Creep Rupture Life of Die-Cast Mg-Al-Mn Alloy2011

    • 著者名/発表者名
      Y.Terada, Y.Murata, T.Sato, M.Morinaga
    • 雑誌名

      Materials Science and Technology of Japan

      巻: 48 ページ: 134-138

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Analysis of Creep Rupture Life of Mg-Al-Mn Alloy Produced by Die-Casting2011

    • 著者名/発表者名
      Y.Terada, Y.Murata, T.Sato, M.Morinaga
    • 雑誌名

      Materials Chemistry and Physics

      巻: 128 ページ: 32-34

    • DOI

      10.1016/j.matchemphys.2011.03.030

    • 査読あり
  • [学会発表] Ni基鍛造合金におけるγ'相の組織形態に及ぼす格子ミスフィットの影響2012

    • 著者名/発表者名
      泉幸貴, 寺田芳弘, 竹山雅夫
    • 学会等名
      日本金属学会第150回講演大会
    • 発表場所
      横浜国立大学
    • 年月日
      2012-03-30
  • [学会発表] 鍛造Ni基超合金におけるγ'相の組織形態と格子ミスフィット学2012

    • 著者名/発表者名
      久深大夢, 泉幸貴, 寺田芳弘, 竹山雅夫
    • 学会等名
      日本鉄鋼協会第163回春季講演大会
    • 発表場所
      横浜国立大学
    • 年月日
      2012-03-29
  • [学会発表] Ni基鍛造合金におけるγ'相の組織安定性に及ぼす格子ミスフィットの影響2011

    • 著者名/発表者名
      泉幸貴, 寺田芳弘, 竹山雅夫
    • 学会等名
      日本学術振興会耐熱金属材料第123委員会研究会
    • 発表場所
      東京工業大学
    • 年月日
      2011-11-29
  • [備考]

    • URL

      http://www.titech.ac.jp/research/index.html

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公開日: 2013-06-26  

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