研究課題/領域番号 |
22560696
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石丸 学 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (00264086)
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研究分担者 |
佐藤 和久 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (70314424)
長谷川 繁彦 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (50189528)
朝日 一 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (90192947)
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キーワード | 相分離 / 自己組織化 / 透過電子顕微鏡法 |
研究概要 |
エピタキシャル成長では、結晶表面における原子の拡散が組織や極微構造を決定する重要な因子となる。この表面原子の拡散を制御することにより、バルク結晶では達成できないナノ構造体を実現することが可能である。本年度は、分子線エピタキシーによりTlGaInAsN/TlInP量子井戸構造を作製し、その構造を透過電子顕微鏡法および走査型透過電子顕微鏡法により解析した。高分解能像観察および電子回折実験の結果、TlGaInAsNエピタキシャル層中には成長方向に対して垂直に、約1nm周期の変調構造が形成されることが確認された。高角度環状暗視野観察およびエネルギー分散型X線分光測定により、TlInGaAsNはInリッチおよびGaリッチ領域に相分離しており、本試料において、いわゆるlateral composition modulation(LCM)が実現されていることが明らかとなった。今回得られたLCMの周期は、歪み場を利用して実現されたLCMの周期(<10nm)に較べるとかなり短い。成長表面での原子の再配列を考慮したイジング型結晶成長モデルより、結晶成長表面に形成された同種原子対が、成長方向に沿って伸びたクラスター形成の引き金になっていることが示唆された。本研究で見いだした超短周期LCM構造は、規則化を抑制することにより他のIII-V族混晶でも実現できると考えられる。
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