研究課題
昨年度の後半では本研究課題で取り組んできたLaNi5で得られた知見に基づき、他の水素吸蔵合金への展開として、近年注目されている積層構造を有する水素吸蔵合金の一つであるLa2Ni7について、空孔形成能の評価を行った。しかし、La2Ni7の水素吸蔵サイトは実験的に明らかではないために、水素吸蔵過程における空孔形成能を評価するためには、第一原理計算により水素の吸蔵サイトを明らかにする必要がある。そこで、本年度はLa2Ni7の水素吸蔵サイトと水素吸蔵に伴う構造変化について第一原理計算により調べた。La2Ni7はLa2Ni4セルとLaNi5セルの積層構造により形成されており、La2Ni4セルに水素が優先的に吸蔵されてLa2Ni4セルのC軸が60%も増加することが実験的に知られている。そこで第一原理計算により水素が占有可能な全ての格子間サイトについて水素の固溶エネルギーを計算した結果、La2Ni4セルの4fサイトと12kサイトが安定なサイトであることが分かった。これらの2つのサイトへ水素が吸蔵される結果、La2Ni4セルのc軸は約26.7%伸びる。更にLa2Ni4セルの4eサイトへの水素の吸蔵に伴いc軸の格子定数は74.0%も増加する。これは、4eサイトに吸蔵された水素原子とNi原子間の結合の形成に伴い、C軸に平行なNi-H結合が切れるためである。これらのサイトの占有によるc軸の格子定数の増加により、LaNi5セルとLa2Ni4セルの間に存在する新たな12kサイトも水素吸蔵が可能となることも明らかとなった。一方、理論計算で求めたC軸の増加量は実験値よりも9%程度大きく、実験値の再現性を高めるには各サイトの部分占有を考慮した計算を行う必要があると思われる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Alloys and Compounds
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10.1016/j.jallcom.2013.01.204