研究課題/領域番号 |
22560706
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
竹内 謙 東京理科大学, 基礎工学部, 准教授 (80339134)
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キーワード | 燃料電池 |
研究概要 |
本研究の最終的な「研究の目的」は、ジメチルエーテルを燃料とし中温で稼働するプロトン導電性酸化物型燃料電池用のアノード触媒の開発を行うことである。具体的には、メソポーラス材料にナノ金属を安価簡便に担持させることで、新規なアノード触媒を開発する。 本申請者はこれまでに、直径3nm、長さ10nm(アスペクト比3.3)のR型MnO_2ナノロッドで構成された平均細孔直径10nmのメソポーラス担体(比表面積120m^2/g)を合成することに成功している。さらに、この技術を触媒開発に応用し、メソポーラスR型MnO_2を化学処理することで、その表面にPdのナノ金属クラスターを均一な大きさで、かつ高密度に析出させることにも成功した。 先に提出した「研究実施計画」に基づき、当該年度(平成23年度)はこの方法を発展させ、新規なメソポーラスR型MnO_2電極を、ユニットに組み込み、水素をフローしながらの交流インピーダンス測定を行った。その際に、新規R型MnO_2に加えて。同様のマンガン酸化物であるものの、結晶構造の異なるλ-MnO_2、β-MnO_2の交流インピーダンスも測定し、その結果を比較した。その結果、λ-MnO_2、β-MnO_2に比べて、R型MnO_2の電子導電率は低いものの、得られる電位は最も高いことが分かった。組成が全く同じMnO_2電極にも拘らず、これらの相違が出たことから、3者の結晶構造の相違に起因していることは明らかである。したがって、R型MnO_2電極の結晶構造から、電位を上げるメカニズムを解明できれば、さらに高い性能の電極の開発に繋がる。そこで、平成22年度およびそれ以前に、米国国立研究所のパルス中性子施設で測定した結晶構造との関係性を解析中である。平成23年度に得られた結果を中心に、2012年9月に開催される台湾でのマテリアルリサーチの国際学会にて招待講演にて発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
震災の影響等で予算の70%までを使用することという通達が10月まで続いた。その結果、研究が遅れることが懸念されたが、共同研究者の好意で、装置を使わせてもらったりと互助することで、研究の遅れは最小限にとどめることができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成22年度、平成23年度に得られた結果から、新規メソポーラスマンガン酸化物電極材料の結晶構造が、他の同じ組成のマンガン酸化物とは大きく異なり、それが、電極性能の向上と関係していることが明らかになってきた。したがって、これらのメカニズムを解明することにより、より性能の高いものへと繋げることが可能であると考えられる。平成24年度は最終年であるので、これら2年間の結果を元に、さらなる電極性能の向上に努めたい。
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