アルミナロッドアレイへの光触媒の担持を,ゾルゲル法と有機金属大気CVD法を用いて試みた.ゾルゲル法は健全に担持できるまでは至らなかったが,大気CVD法ではアナターゼを主とする酸化チタンをデポジットすることができた.酸化チタンはナノロッド先端に選択的に付与され,いわば「土筆」のような形状を呈していた.Ni基板を保持するステージ温度やキャリアガス流量の最適化を行うことで,効率よく酸化チタンをナノロッド上に付与することができた. さらに,メチレンブルー水溶液の脱色反応を利用して,塗布した酸化チタンの光触媒特性を評価した.酸化チタンを塗布したナノロッドアレイは,同じ方法で酸化チタンを付与した平坦Ni基板よりも高い光触媒能を示すことを明らかにした.平坦Ni基板に付与した酸化チタンは,サブミクロンレベルの微細な島状になっており,その島形状から算出される酸化チタンの表面積はナノロッドアレイに担持した酸化チタンよりも大きかった.にもかかわらず,酸化チタンを付与したナノロッドアレイが光触媒特性が優れていた原因は,ナノロッド間の空間が流体の拡散と紫外線の受光に有利に働いているためと考えられる. 有機金属大気CVD法を用いたナノロッドアレイへの酸化チタン付与は,1mm幅のマイクロチャネル内壁のナノロッドアレイへも適用可能であることが確認できた.現在,マイクロチャネルに酸化チタンが付与されたナノロッドアレイを有するマイクロリアクタの施策にも成功し,メチレンブルー水溶液の脱色反応も確認した.
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