| 研究概要 |
本研究は,鍛造中の工具損傷・破壊を発生前に予知し、警告や鍛造機械停止を行うシステムを、工具料内部の微小な損傷により発生するアコースティック・エミッション(AE)検出技術を用いて行う技術の実用化を目指す.本年度は,これまでに申請者が提案している,工具材料の損傷発展と,顕著な引張り強度と圧縮強度の差違を表現できる構成式による有限要素解析とAEフラクタル次元の変化の関係を見出すため,工具材料の引張り試験および繰返し負荷試験において,応力-ひずみ関係の取得と,弾性係数の変化による損傷の評価を実施した.
その結果,硬度の低い工具材料においては,弾性係数の漸減がみられ,損傷の進行が負荷に従い徐々に進行していることが確認できた.一方,高硬度の焼入れ工具鋼や粉末ハイス鋼は,材料破断の直前に急激に損傷が進行していることがわかった.このような特徴を表現できるように,工具材料の発展式の材料定数を定めることができ,材料の違いによる損傷発展の様子を再現することができた.
続いて,疲労試験を行ったが,試験片形状の問題などが発生し,信頼性のあるデータ取得がかなわなかった.次年度では,試験片形状の見直し,負荷レベルの再検討を行ったのち,実験を継続する.
また,企業の連携研究者と共に実鍛造工程における工具からのAE取得のための準備段階として,工具へのAEセンサーの取り付け,配線取り回しの検討,鍛造工程前の運転時におけるAEレベルの確認などの準備を行った.次年度には,適当な形状の鍛造部品について鍛造工程時のAE取得とその処理を行い,破壊予知パラメーターの解明を行う予定である.
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