研究概要 |
共振周波数の異なる探触子を用いて超音波によって界面に付与する応力による非線形挙動の違いについて検討した.試験片には2枚の厚さ15mmのAl合金板を用いた.当初は超音波の有する応力が大きいほど接触界面において高い非線形超音波の発生強度を示すと予想していたが,使用した各探触子の特性による影響が大きく,予定していた超音波の応力による影響を十分に検討することができなかった.今後は各探触子の特性を評価し,再度検討を行う.今年度のもう一つの目的であったパルス超音波の接触界面の透過の応答評価については以下のような結果を得た.透過応答の評価にはYAGレーザによって励起した強力なパルス超音波を用いた.パルス超音波は広帯域の周波数成分を有することから一度の計測で広い周波数帯の応答を評価できる.今回用いたパルス波の周波数帯は20MHzである.試験片にはフランジ形状に加工したAI板を用い,界面接触圧力は締付けボルトのトルクによって制御した.界面を透過するパルス波の周波数帯は,接触圧力が高くなるほど広くなることがわかった.つまり,接触界面は接触圧力に依存したローパスフィルタのような作用をしていた.通過周波数帯の遮断周波数は接触圧力が30MPaまでの範囲で接触り応力に対して線形的に高くなった.昨年度行った連続波による非線形超劇皮によって評価できた圧力範囲の10倍であった.したがって,透過周波数帯から広い範囲の接触圧力を定量的に評価できる可能性があることがわかった.また,今回用いたレーザのビーム径は直径3mm程であることから高い空間分解能で接触応力分布を推定でき,推定結果は圧力指示シートで計測した圧力とほぼ同じ値を示した.
|