研究概要 |
試作した人工降雨機を用いて種々の組成の電解質水溶液(模擬降雨:NaCl,Na2SO4,NaNO3/20~200μS/cm)を所定の降水速度(単位時間あたりの降水量:0.5~10.5mm/h)で降らせ、この中にACM(Atmospheric Corrosion Monitor)センサと炭素鋼試験片を設置し、種々の時間暴露した。ここで、ACMセンサは従来型のもの(Fe/Ag-対)を用いた。 なお,ここで採用した20pS/cmという導電率は、つくば市で採取された降雨の値である。NaCl水溶液を模擬雨水とした場合、ACMセンサ出力は、0.5~10.5mm/hの範囲の降水速度には影響されなかったが、導電率が高いほど大きくなった。しかし、炭素鋼の腐食速度は、降水速度、導電率のいずれにも影響されなかった。また、20μS/cmの導電率を有する種々の電解質水溶液を用いて行った試験結果では、センサ出力は降水速度によらずNa2SO4>NaCl>NaNO3の順となった。ただし、炭素鋼の腐食速度は、Na2SO4で大きく、それ以外(NaCl,NaNO3)では、塩の種類によらなかった。また、模擬降雨液中で行った電気化学的測定結果では、炭素鋼電極の電位はNa2SO4<NaCl<NaNO3の順に卑になり、Na2SO4が特に卑であった。このために、Na2SO4の模擬降雨においてACMセンサ出力、炭素鋼腐食速度ともに大きくなったと考えられる。 海塩を付着させたFe/Ag-対ACMセンサをH2S,SO2などのガスを含む恒湿槽に入れ、センサ出力におよぼす各種因子の影響について調べた。センサ出力(I)と湿度(RH)の関係は、海塩を付着させた場合と異なることから、I-RHの関係を解析することでガスの影響評価も行える見通しが得られた。
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