研究課題/領域番号 |
22560736
|
研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
伊東 富由美 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究職 (10549489)
|
キーワード | 表面・界面制御 / 磁性 / マイクロカプセル / 漏洩磁束密度 |
研究概要 |
国内外間わず蒸気発生器(SG)伝熱管内壁の水側からの腐食による事故が発生しており、検査技術は極めて重要である。現在は渦電流探傷試験(ECT)により検査が行われているが、高速な検査が可能という長所がある一方で、材料の磁気特性や微小な形状の変化に影響を受けやすいという短所もある。この短所を補完する技術として複雑な形状および深さが数μm程度の微小欠陥が検出可能な磁粉探傷試験(MT)がある。しかし、このMT試験をSG伝熱管に適用する場合、SG伝熱管内に磁紛液(粒径サイズ0.2~60μm)を散布する必要があるという欠点がある。本研究では磁紛液をMC中に収めることにより、MT試験後に磁紛を容易に除去する事が可能な磁紛内包蛍光MCの開発を行い、電気信号によるECTと目視観察によるMTの2種類の方法により検査技術の高度化を目指す。 MTをSG伝熱管に適応させるためには伝熱管内部から磁化させる必要があり、実用化するためにはSG伝熱管用磁化器の設計が重要となる。前年度はSTBA24の欠陥深さ形状をパラメータにした複数の試験体を機械加工により作製し、欠陥部から発生する漏洩磁束密度を計測した。その結果、欠陥部からの漏れ磁束ではなく、試験体に密着していない部分からの磁束線を計測したと考えられる結果であった。この原因として試験体が湾曲し3次元用プローブを試験体に完全密着出来なかった事が挙げられるため、今年度はプローブの加工方法の検討を行なった。その結果、3次元用プローブをZ軸方向の隙間は数mm程度あるものの、X軸・Y軸方向の隙間を0.5mmにする事で1インチ試験体の漏洩磁束密度を計測する事が可能となった。さらに、接地面を配管の形状に合わせた磁化器の設計を行なった結果、φ70mm×50mmサイズの磁化器は、試験体を飽和磁束密度70~80%(1.7~1.8T)以上の磁束密度になるように磁化する事が可能である事を確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
φ70mm×50mmサイズの磁化器は通電直後に高温になり、磁化器が冷めてから再度測定する必要があるという問題が生じたため、1インチサイズの磁化器でも同様の事が起こる可能性がある。
|
今後の研究の推進方策 |
研究を遂行する上で、伝熱管に挿入する磁化器の形状に問題がある。現段階ではφ70mm×50mmサイズの磁化器の作製は可能であるが、1インチ伝熱管に挿入可能な磁化器の作製は困難である。理由として試験体を飽和磁束密度70~80%(1.7~1.8T)以上の磁束密度になるように磁化するためには、電磁石のコイルの巻き数を多くする必要があり、また巻き数を多くすると通電直後に高温に発熱し断線する可能性がある。この問題を解決するために、長さ方向の限度及び断線に耐える事が出来る発熱温度の調査を行なう。さらにピックアップコイルによる漏洩磁束密度の計測および計測信号処理手法の開発も同時に行なう。
|