磁粉と蛍光色素が分離するという磁粉探傷試験(MT)問題点を解決し磁粉探傷試験手法と、渦電流探傷試験(ECT)を組み合わせることにより、より高精度な蒸気発生器伝熱管用非破壊検査技術の実現を目指すことが目的である。意義は重大な事故を未然に防ぐことであり、重要性は材料の磁器特性や微小な欠陥形状に変化を受けやすいECTの問題点を改善することである。昨年度は磁化器(1099AT)を用いる場合、カプセルに内包する磁粉濃度が6.8wt%が妥当と判断した。今年度は磁化器で伝熱管配管を磁化させたのち、内壁の欠陥部に集合した磁粉内包マイクロカプセル(磁粉内包MC)を観察するための装置開発を行なった。既に原子力機構が開発したレーザー光を伝送するファイバに2万画素のイメージファイバをバンドルした複合型光ファイバはファイバに対して垂直面を観察することは容易であるが、ファイバに対して平行面を観察することは困難である。そのため表面部に可視光コーティングを施し、更にレーザー光を反射する誘電多層膜コーティングを施したミラーを先端部に取付けたトーチを用いた。このトーチのもう一端に複合型光ファイバを取付けることで伝熱管内壁面の観察が可能となった。さらにパルスレーザー光を内壁に照射し、照射時に発したプラズマ光をイメージファイバで取得し分光計測することにより、内壁の状況把握が可能となった。さらに、伝熱管内壁に挿入可能な直径φ10mm×長さ50mmの磁化器を作製した。この磁化器(AT)に電流を流すことにより、3秒後には市販された磁粉が標準試験片の欠陥部(欠陥深さ:0.5mm)に集合することを確認した。
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