研究概要 |
塩化剤発生部について,まず熱力学的解析により鉛をはじめとする有害成分(Cdなど)の除去に効果的な塩化剤の種類や土壌添加の効果,処理温度等について検討した。次に,上述の検討結果をもとに塩化剤発生部の挙動について実験により検討した。塩化剤としては塩化物の反応性を考慮して,MgCl_2,CaCl_2,KClを選定した。また,土壌としてSiO_2分を豊富に含有し,比表面積の大きい珪藻土を選定した。廃棄物中の有害成分の塩化反応に寄与するHClガスの供給挙動に及ぼす混合塩組成及び珪藻土配合率の影響をアルゴンガスキャリア中,973Kにおいて調査した。その結果,珪藻土配合率の増加に伴い,いずれの塩化物の反応性も向上した。ただし,KClの反応性は他の塩化物に比べて低く,また,MgCl_2は珪藻土との反応性が非常に高いため,過剰量の珪藻土を配合すると昇温の段階で既にHClガスを放出し始め,処理温度に達した後のHClガス供給量が減少することが分かった。一方,CaCl_2の反応性は緩やかで比較的長時間にわたってHClガスを供給できることが分かった。 次に,本研究で対象とした都市ごみ焼却灰ならびに強度に汚染された重金属複合汚染土壌に対して塩化処理を行うための諸条件について,上記の検討結果をもとに効果的に重金属を塩化除去できると予想される塩化剤発生部の条件を検討した。MgCl_2含有率が高い組成においては過剰量の珪藻土を配合率しないことにより,また低い組成においては珪藻土配合率を高くすることにより理想的なHC1ガス供給挙動が得られ,有害成分の塩化揮発除去が効果的に実施できる可能性が示唆された。
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