研究課題/領域番号 |
22560740
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
河原 正泰 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (60145282)
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キーワード | ファンネルガラス / 鉛 / 溶融還元 / 塩化焙焼 / PEG / PET |
研究概要 |
ブラウン管ファンネルガラスからの鉛の回収法として、これまでに一定の成果が認められた溶融還元について、ファンネルガラス中の酸化鉛を還元して金属鉛を得るための還元剤の種類と添加量を詳しく検討した。また、ファンネルダストを試料として、塩化揮発法による鉛の分離・回収について検討を加えた。 溶融還元の還元剤としては、昨年度用いた小麦粉よりもPEGやPETといった有機化合物の方が還元能力が大きいことが分かった。また、炭酸ナトリウムといった溶融助剤を添加しないと、ガラスと金属鉛の分離性が悪いことが判明した。ペットボトルを粉砕したものを還元剤として用い、溶融助剤として炭酸ナトリウムを添加して溶融還元すると、約90%の回収率で純度90%以上の金属鉛が回収された。但し、鉛回収後の残渣からの鉛の溶出濃度は、鉛の含有量が減っているにもかかわらず、未処理のファンネルダストからの鉛の溶出濃度よりも高くなった。 塩化焙焼では、塩化剤として塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムを検討したが、鉛の塩化揮発には塩化カルシウムが一番効果的であった。また、塩化焙焼においても炭酸ナトリウムといった溶融助剤の添加が効果的であることが判明した。なお、塩化焙焼による鉛の回収率は、溶融還元と比較して低いことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ブラウン管ファンネルガラスからの鉛の回収法として溶融還元法と塩化揮発法を比較し、それぞれの特徴と処理条件が明らかとなった点は当初の計画どおりで、研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
ブラウン管ファンネルガラスからの鉛の回収法として溶融還元法と塩化揮発法を比較すると、鉛の回収率は、溶融還元の方が勝っていることが判明した。また、溶融還元では鉛を金属鉛として回収できるため、塩化焙焼よりも効率的であると思われる。但し、鉛回収後の残渣からの鉛の溶出濃度は、鉛の含有量が減っているにもかかわらず、未処理のファンネルダストからの鉛の溶出濃度よりも高くなった。 そこで今後は、鉛回収後の残渣からの鉛の溶出を抑えるためのガラスの成分調整および熱処理について検討を加える予定である。また、必要であれば、鉛回収後の残渣に塩化焙焼を行ない、残渣から鉛を除去して無害化することも検討する予定である。
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