研究課題/領域番号 |
22560750
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
鈴木 道隆 兵庫県立大学, 工学研究所, 教授 (20137251)
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研究分担者 |
飯村 健次 兵庫県立大学, 工学研究所, 准教授 (30316046)
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キーワード | ナノ材料 / 面・界面物性 / 化学工学 / 環境材料 / 超薄膜 / 超撥水 / ファン・デル・ワールス力 / 粉塵付着 |
研究概要 |
ナノ粒子を塗布した超撥水ガラス表面には粉体が付きにくい現象の原因を解明するために、粉体付着量を測定するとともに、基板表面の撥水性やナノスケールの凹凸を計測して粉体付着量との関係を実験的に検討した。 実験には、粒子表面を撥水処理した1次粒子径が7nmの球形シリカナノ粒子をアルコールに混合・分散した懸濁液を基板に塗布し、加熱乾燥して作ったガラス基板面のナノ粒子膜を使った。比較のために液系撥水剤を塗布した疎水性表面を持つガラス基板と未改質のガラス基板も実験に用いた。粉体付着量は、ガラ ス基板を3.8μmのシリカ微粒子圧密した厚さ3mmの粉体層上に置き、重りを用いて68pa~2.4kPaの垂直応力を加えて5分間圧密した後にガラス基板を取り出し、その重量増加分から求めた。 実験の結果、未改質ガラス基板と液系の撥水剤を用いて表面を疎水化改質した基板では粉体付着量が5.1~21.58/m^2だったのに対して、ナノ粒子を塗希したガラス基板では0.5~0.8g/m^2/と1桁以上少なく、粉体の付着を防止する効果が高いことが確認された。粉体付着量と撥水性の指標となる水の接触角との間には明確な相関は得られず、撥水性は粉体付着に直接関係しないことが分かった。しかし、ガラス表面の凹凸状態を表す自乗平均面粗さ(RMS)と粉塵付着量との間には明確な相関関係があり、表面の凹凸が大きいほど粉が着きにくいことが明らかとなった。これらの結果よりナノ粒子塗布によって粉体付着が防止できるのは表面の凹凸によって平均表面間距離が伸びるために粉体粒子と基板間に働くファン・デル・ワールス力が減少する結果と考えられる
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