研究課題/領域番号 |
22560752
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
野村 幹弘 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (50308194)
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キーワード | シリカ膜 / 対向拡散CVD法 / 炭化水素分離 / 製膜メカニズム / 粉末分析 |
研究概要 |
低炭素社会の実現のため、炭化水素分離を効率よく分離することが求められている。我々は、対向拡散CVD法にて、シリカ源に有機官能基であるアルキル基を導入することで、シリカ複合膜の細孔制御の可能性を検討している。本年度の目的は、シリカ源加水分解物粉末の分析を行うことで、高い分離性能をもつ膜の製膜条件を明らかにできるような透過メカニズムおよび蒸着メカニズムを検討することである。シリカ源には、信越化学製のPropyltrimethoxysilane(PrTMOS)、Phenyltrimethoxysilane(PhTMOS)、Hexyltrimethoxysilane(HTMOS)を用いた。それぞれ45℃、75℃、125℃の窒素バブリングにより、多孔質γ-アルミナキャピラリー基材(NOK製:4nm)の外側に0.2Lmin-1で供給した。基材の内側はオゾン(71gm-3)もしくは酸素を0.2Lmin-1で供給した。蒸着は、150~500℃で5min~90min行った。H2、N2、SF6の単成分透過試験により蒸着温度にて透過試験を行った。粉末分析は、PrTMOS:EtOH:H2O:NaOH=1:3.8:25:0.94、PhTMOS:EtOH:H2O:NaOH=1:3.8:25:0.94、HTMOS:EtOH:H2O:NaOH=1:3.8:42:2.5を、80℃にて加水分解後、石英管中に配置した。オゾン雰囲気下(76.8gm-3)で、150℃~500℃にて90min行った。オゾン処理後のサンプルをFT-IRにて分析した。PrTMOS、HTMOSおよびPhTMOSを用いて製膜した膜のH2/N2、N2/SF6透過率比と蒸着温度の関係を検討した。PrTMOSの蒸着において、H2/N2透過率比の最大値は、28.5であった。N2/SF6透過率比はいずれのシリカ源を用いた場合も300を上回った。HTM0Sの蒸着において、N2/SF6透過率比が最大値220000となった。粉末分析では、2960cm-1(C-CH3)もしくは1460cm-1(Si-Ph)吸収のオゾン処理温度依存性を検討した。PrTM0Sでは、270℃にて、C-CH3吸収比が0.41となった。一方、HTMOSでは、400℃のC-CH3吸収比は低かった。これより、高N2/SF6透過率比の膜を得るためには、有機物残存量が大きい条件を検討すればよいと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初、300℃以下のみで蒸着が最適化されると考えていたが、Hexyltrimethoxysilaneをシリカ源とした場合は、450℃にても有機物が残存していることを見いだした。その結果、N2/SF6透過率比が220000とチャンピオンデータを得た。この方法を利用することで最終年度に目標を達成する可能性が向上した。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの達成度に示したように、本研究で、これまで見いだされていなかった蒸着条件の可能性を見いだした。蒸着温度の上限を300℃から500℃へ変更することで、さらなる高性能の膜開発を目指す。
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