イミダゾール系イオン液体と比較し、安価で化学的安定性に優れたイオン液体を新たに合成し、二酸化炭素共存下におけるρVT、密度、モル体積、溶解度など物性データを、振動管式密度計と精密圧力計(差圧計・空気式死荷重圧力計)を備えた小容量体積可変溶解度測定装置を利用し、精密に測定した。具体的には、ジグライム、トリグライム、テトラグライムなど純グライムに、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(塩)を添加したイオン液体(溶融錯体)を主な対象とした。 新たに合成した吸収液の二酸化炭素吸収量は、圧力上昇に伴い増加した。純グライムと比較すると、純グライムにリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドを添加した吸収液(添加量:16.7wt%もしくは30.0wt%)の二酸化炭素溶解度は低下した。一方、ジグライムに塩化リチウムを添加した吸収液(添加量:1.00wt%)の二酸化炭素溶解度は大幅に低下した。これは、塩化リチウムの添加量が少量にもかかわらず、塩添加による塩析の影響が大きいためと考えられる。また、同時に測定した飽和液相密度は、圧力上昇に伴い僅かに減少した。一方、飽和気相密度は、同圧下での二酸化炭素密度と一致し、吸収液が気相に溶出しないことを確認した。 二酸化炭素及びイオン液体(溶融錯体)の単位モル体積あたりの吸収量で考察すると、純グライムに塩を添加した吸収液と純グライムの二酸化炭素吸収量は一致した。単位モル体積あたりでは、リチウムビス(トリフルオロメタンスルポニル)アミドの添加により、二酸化炭素吸収量は塩溶効果が見られやや大きくなった。一般的に塩を添加させた場合、塩析効果により吸収量が低下するが、新たに合成した吸収液では塩析が見られなかった。これは、二酸化炭素分離回収プロセスにおけるガス吸収液使用量抑制の可能性を示唆している。
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