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2011 年度 実績報告書

難処理物質分解処理のための超音波反応器の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22560759
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

多田 豊  名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80127456)

キーワード化学工学 / 反応・分離工学 / 廃棄物処理 / 超音波反応 / PIV
研究概要

効率的な超音波反応器を開発することを目的として、反応器内水中での超音波流動と反応に及ぼす溶存ガスの影響を明らかにすることを試みた。
同一時刻での反応器内全体の流動分布を得ることができるPIV(Particle Image Velocimtry)の解析プログラムを開発し、シート状レーザーと連続撮影カメラ、蛍光粒子により測定系を構築した。これらを用いて超音波照射時の反応器内流動解析を行った。
水中で超音波を照射すると、キャビテーションにより微細気泡の発生と圧潰が起こり、それにより生成するラジカルが超音波反応を引き起す。したがって、水中の溶存ガスは超音波反応に大きく影響する。本研究では溶存ガスとして酸素、窒素、その混合物としての空気、および不活性ガスの代表としてアルゴンを用いた。いずれかのガスを溶解させ、反応終点が容易なヨウ素脱色反応と反応経時変化を得ることができるヨウ化カリウム三ヨウ素イオン生成反応を超音波照射下で行わせた。
その結果、反応速度は速い方からアルゴン、窒素、空気、酸素の順となり、アルゴンの場合は酸素の約2倍の速さであった。アルゴンで速くなる理由は、その溶解度が大きいことと、断熱圧縮・膨張に影響する等圧比熱と等容比熱の比が大きいためと考えられる。
また、超音波照射中に微少流量(体積3Lの反応器に5ml/min)でガスを吹き込みながら反応させ、いずれのガスの場合も反応速度はさらに速くなることを確認した。これは溶存ガスの補充と流動促進ができるためと考えられる。それ以上に吹き込み流量を大きくしても、反応速度は大きくならなかった。
さらに、前年度の研究で超音波反応に効果があった反射板を反応器水中に設置して、アルゴンガスを溶解させて反応させたところ、反射板設置により反応速度は少し大きくなった。
本研究により、PIVにより超音波反応器内流動分布を得られること、アルゴンガスの溶解により超音波反応速度を大きくできることを明らかにし、効率的な反応器開発に重要な指針を与えることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

PIVにより超音波反応器内流動分布を得られること、アルゴンガスの溶解により超音波反応速度を大きくできることを明らかにし、おおむね平成23年度の研究の目的を達成できている。ただ、超音波照射条件によりPIVに供する鮮明な流動画像が得られない場合があり、流動数値解析結果との比較や、超音波反応に最適な流動状態の確認にまでは至っていない。また、溶解度が大きく、等圧比熱と等容比熱の比が大きいガスを溶存させると効果があることは分かったが、アルゴン以外の他のガスも試し、最適な溶存ガス条件を明らかにする必要がある。これらのことから、溶存ガスの効果について学会で口頭発表を行ったが、学術論文発表までは行っていない。

今後の研究の推進方策

超音波反応に適した反応器内流動を明らかにするためには、広い条件でのPIV解析が必要であり、現在は超音波照射条件により、解析のための鮮明な画像が得られない場合がある。投入蛍光粒子の条件(粒径、投入量等)や撮影条件(絞り、シャッター時間、撮影間隔等)を変えて、広い条件で鮮明な画像が得られるように試みる。
また、最適な溶存ガス条件を明らかにするために、他のガス、例えば不活性ガスであるヘリウムを用いたPIV解析や超音波反応実験を行い、反応器内流動や反応速度、また、狭いとされている超音波反応領域を調べる。反応器内流動と超音波反応に対するそれぞれの最適条件は一致するとは限らない可能性があるため、それぞれの最適条件を明らかにする。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 超音波によるヨウ素デンプン脱色反応に及ぼす溶存ガスの効果2011

    • 著者名/発表者名
      藤田恵,多田豊,加藤禎人
    • 学会等名
      第42回中部化学関係学協会支部連合秋季大会
    • 発表場所
      信州大学(長野市)
    • 年月日
      2011-11-06

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公開日: 2013-06-26  

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