ハイドロフォンにより超音波照射時の反応器内音圧分布を測定した。超音波反応のためには超音波を連続照射する必要があるが、連続照射で強いキャビテーションが生成する条件下ではハイドロフォンセンサー部は損壊する可能性がある。そこで超音波をパルス照射し、パルス数を1、2、5、10、20、50と増やして行ったところ、50パルスで実質上ハイドロフォンは損壊した。そのため2パルスで反応器内音圧分布を測定した。 シート状レーザーを照射し、PIV法により超音波照射時の反応器内流速分布を測定した。流動画像を得て、流速分布を求めたが、流動は弱く(最大流速位置で1~2cm/s)かつ時間的空間的に揺らいでいた。流速ベクトルは各測定位置の相関関数最大値を用いて決定するが、非常に弱い流れでもそのときの最大相関値をもつベクトルで流速としてしまい、異なった超音波条件での流速分布を比較するには、相関値の大きさを取り入れたPIV法を開発する必要があることが分かった。 超音波照射時でのヨウ素脱色反応を行わせ、上記の測定した音圧分布と比較した。上記のように音圧分布はパルス照射時のものであり、連続照射時の反応と厳密に比較することはできないが、反応領域と音圧分布の対応は妥当であった。今後、実測できない連続照射時音圧分布を数値解析により明らかにすることが望まれる。 難処理標準物質TPPS ( Tetraphenylporphine Tetrasulfonic Acid ) の分解反応実験を行った。難処理物質を超音波照射により一部分解することができたが、現状で最適な直径や設置位置での反射板を用いても、分解率は3時間で0.2と低く、実用レベルに達しておらず、連続装置作成までは行かなかった。照射電力を上げずに、難処理物質を分解するためには、局所的に超音波反応閾値を超えさせる工夫が必要であることが分かった。
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