研究概要 |
デラフォサイト型酸化物CuMO_2の酸素吸蔵能と還元特性の検討を行った。デラフォサイト型銅酸化物の合成は、Mとして希土類元素(R=La,Y)、遷移金属(Fe)および典型金属(Al)を用い、出発原料としてこれらの金属酸化物を用いて、これらを目的組成となるように秤量、混合したのち、N_2気流中、900~1100℃で焼成することで行った。酸素吸蔵能(OSC)は50%O_2/HeおよびH_2パルスを交互に導入した時の酸素吸蔵量により評価した。希土類元素を含むCuRO_2(R=La,Y)は、いずれも700℃でR=La,Yでそれぞれ718、798μmol-O_2/gのOSCを示した。800℃でOSCを測定した後の試料においては、Cu_2Y_2O_5およびLa_2CuO_4の生成が認められ、酸素吸蔵過程においてCuRO_2中のCu^+の酸化によりデラフォサイト型構造が分解することが明らかとなった。 また、400℃程度の温度領域から高いOSCを示すCuFeO_2のFe^<3+>サイトをAl^<3+>で置換した固溶体CuFe_<1-x>Al_xo_2の合成を行い、OSCおよび還元特性の検討を行った。その結果、Al^<3+>を10%置換することで、OSCが増大するとともに酸化還元雰囲気に対する構造安定性が向上することが明らかとなった。さらに水素昇温還元法(H_2-TPR)による還元特性の検討を行った結果、Al^<3+>置換量が増大するとデラフォサイト型酸化物中のCu^+の還元温度が約370℃から790℃に上昇し、Cu^+の還元特性を広い温度領域で制御できることが示された。またCuFe_<1-x>Al_xO_2のa軸長はAl^<3+>置換量とともに減少したことから、デラフォサイト型構造中のMO_6八面体層間のCu-Cu間距離を変化させることにより酸素吸蔵能を制御できることが示され、新規酸素吸蔵材料の設計指針が得られた。
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