研究課題/領域番号 |
22560767
|
研究機関 | 仙台高等専門学校 |
研究代表者 |
佐藤 友章 仙台高等専門学校, マテリアル環境工学科, 教授 (70261584)
|
キーワード | メカノケミカル / 有価金属 / コンバージミル / 回収率 / メディアン径 / 酸濃度 / 酸溶出 |
研究概要 |
本研究では、画期的な粉体処理装置「コンバージミル」の諸特性を活用して、難処理性セラミックス廃棄物からの有価金属回収技術を開拓し、低エネルギーで高収率となる有価金属回収システムの構築を図る。平成23年度は本研究の展開期間と位置付けて、ネオジウム系磁石のメカノケミカル処理による最適処理条件の探索と希土類元素の酸溶出処理について検討した。 市販のNd-Fe-B磁石をモデル物質として、種々の条件下でメカノケミカル処理を行った。まず、投入試料に対する媒体球の質量比を一定の5/1として遊星ボールミルにて処理したところ、処理時間5min、媒体球の大きさをφ4,6,8mmの範囲でメディアン径は14~33μmとなり、処理時間と共に徐々に減少していく傾向が見られた。しかし、いずれの媒体球の大きさでも180minを経過後のメディアン径は10数Fmに留まる結果となった。一方、コンバージミルでメカノケミカル処理を行ったところ、一例として、処理時間5minでは遊星ミルと同程度のメディアン径であったが、60min以降は10μmを下回るメディアン径が得られ、120min以降はいわゆる逆粉砕現象が観察された。 種々の条件下で希土類Nd回収率を調査した結果、溶解酸として0.5~9.0mol/dm^3の硝酸を用いたところ5mol/dm^3では80%の回収率を、7mol/dm^3以上の濃度で100%の回収率が得られ、同じ硝酸濃度において溶解温度80℃では2h、常温では24hの短い溶解時間でNdを十分に溶出できることがわかった。さらに、溶解温度80℃、溶解時間2hと常温、溶解時間24hでは、Nd回収率がほぼ同じ値となった。今回の結果では、メディアン径とNd回収率との関係については明確な依存性は得られず、処理粉末のメディアン径が30μm以下では、処理条件よりも溶解酸濃度に依存する結果となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災により、実験建屋が立ち入り禁止となり、さらに、本校に設置してあるコンバージミルが稼働不能となった。学校内で震災による修理等必要かどうかの調査があり回答したが、研究で利用するコンバージミルが修理対象から外れてしまい平成23年12月まで稼働できない状況であった。修理に要する費用は140万円で本年度予算を大きく上回るため復旧は困難であったが、自助努力により1月に最低限の動作環境が整い、何とか平成23年度の計画の7割程度まで結果を得ることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
企業・自治体からの試験依頼を含め、これまでに得られたコンバージミルの知見およびH22,H23年度の成果を基に、リチウムイオン2次電池、アスベスト、蛍光管・蛍光材料、半導体材料、など各種難処理性廃棄物を対象として、高速・高純度MC処理を行う。原料投入量、媒体球の種類・直径・充填量、処理回転数を制御因子として、高速に微細化(非晶質化)する最適処理条件を明らかにする。遊星媒体ミルや転動ミルによる実験も行い、処理特性の大きな違いについても解明する。処理粉末の評価は、X線回折装置、走査型電子顕微鏡、粒度分布解析装置、表面積測定装置、にて行う(いずれも現有装置)。
|